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- 柿崎景家
- 20/07/21 15:45:31
「GoToトラベルはやらなければならない。ただ、大都市圏は対象から外してスタートすべきだった」経済学者・中田大悟氏
2020.07.17 15:54
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コロナ禍で冷え込んだ観光業界を支援するための「GoToトラベル」は、(中略)反対の首長も現れるなど、懸念の声が広がっている。
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独立行政法人・経済産業研究所の中田大悟氏(公共経済学、財政学)は「(中略)、それでもGoToトラベルはやらなければならないものだった」と話す。
「観光は非常に裾野が広く、地域の飲食、流通、クリーニングなどの様々な業種が繋がって、地域経済そのものになっている。多くは中小企業なので、回転資金も無い。このまま行けば、地域経済そのものが早晩ダメになってしまう。また、コロナの前から地方銀行の経営状態が厳しい。その中で連鎖倒産が起きれば、金融パニックになる可能性もある。何とか段階で止血をしなければならなければ、国全体が経済危機に陥ってしまう。GoToトラベルによって観光業が持ち直すとは政府も考えていないと思う。それでも何とか最低限のところを維持したいということだろう」。
その上で、東京都をその対象外としたことについては「正しい判断だと思うが、首都圏の1都3県、大阪とその隣県、北海道、福岡県といった都市圏も外した方が良かったと思う。最初からロケットスタートさせるのではなく、まずは小さくスタートして、徐々に大きくしていくべきものだった」と指摘する。
「首都圏在住の方であれば分かると思うが、千葉・神奈川・埼玉は東京と一体だ。だからこそ知事の方々も“首都圏は一体で”と対策の理念を語っておられた。しかし今回の場合、川を隔てた川崎(神奈川県)に宿泊して東京に来るといった“抜け穴”作りも可能になってしまう。にも関わらず、“自分のところには箱根があるから”“東京ディズニーランドがあるから”という具合にエゴが出てきてしまったのは残念だ。首都圏としては感染を抑えることにプライオリティを置いてもらいたかった」。
しかし、人口約1400万人の東京都を対象から外すことで、事業そのものの経済効果が薄くなってしまう可能性はないのだろうか。また、都民からは割引支援を受けられないことに対する不満の声も上がりそうだ。
中田氏は「効果が薄くなるというのは、その通りだと思う。ただ、首都圏や大阪は地方と違い、域内の経済活動の水準が非常に高い。観光だけで生きているというわけでもないので、観光業に特化した支援というよりも、飲食業・サービス業全般への支援の中で対処した方が良い。その中でホテルなど観光専門の業者に対しては自治体や国による新しい枠組み、場合によっては地方創生交付金の積み増しなどの支援ということが考えられる。また、GoToトラベルは新しい観光の在り方を模索する事業でもある。業者も含めて、多くの観光客を受け入れるためのノウハウを蓄積する期間も必要だと思う。その意味でも、最初は首都圏の人、東京の人には我慢していただいた方がいいと思う」と説明。
また、「利用可能な経済力で地域経済の延命を図るための政策だし、今のシチュエーションで公平かどうかは問うべきではない。地方創生臨時交付金というものも補正予算に盛り込まれているので、自治体が一定の裁量で使える予算もある。東京、そして首都圏については感染拡大の抑制を最優先にして、都民が都内をめぐる分には都独自にやっていただければいいと思う」とした。
今後について中田氏は「政府としても、野党からの勧めもあったし、4連休に間に合わせるということに前のめりになりすぎていたのだと思う。ただ、地方とのコミュニケーションが不足していただろうし、医療機関との接続を図るということもできなかった。それが典型的に表れているのは、東京都が医療用のホテルを解約したことだ。22日から東京も含めてGoToトラベルを実施することが分かっていれば、軽症者の方が増えることも分かったはずだ。保険がセットになっている旅行業者のパック旅行であればサポートも受けられると思うが、個人で行った場合には、自力で医療機関を探すしかない。少なくとも旅先で体調の異変を感じた方が優先的に検査を受けられるといった対策も必要だろう」と話していた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)
全文を読みたい方はリンク先へ
https://times.abema.tv/posts/8615860
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