• No.25 韓国が今WTOに提訴した理由・2

    20/06/27 09:21:49

    (続き)

    ■命運を左右するフォトレジスト

    ――話をWTOに戻します。勝てそうもないのに、なぜ文在寅政権は再提訴に動くのでしょうか?

    鈴置:理由は2つあります。まず、人気取りです。韓国人は今、「ついに我が国も先進国になった」と大喜びしています。新型肺炎で世界の防疫模範国になった、との思いからです。

     一方、日本の輸出管理強化で普通の韓国人が一番、カチンときたのはいわゆる「ホワイト国」から外されたことです。信頼に足る国だから厳しい管理を免除する、といったほどの意味ですが、韓国人はそれを「先進国待遇」と見なしてきました。

     文在寅政権としては先進国入りに沸く国民の前で「途上国待遇への格下げ」を日本に修正させる必要があるのです。

     もう1つは国家戦略の問題です。日本が対韓輸出管理を強化した3品目の1つにフォトレジストがあります。これを自由に輸入できるかが、韓国の未来を左右するのです。

     半導体に回路を掘る工程は3段階。まず、「土台」となるウェハーの表面に、光が当たると溶解性が増すフォトレジストを塗ります。次に、回路の形状通りに光を当て、その部分のフォトレジストだけを溶剤で溶かします。最後にプラズマでフォトレジストの落ちた部分を掘るのです。

     半導体の能力は線幅――配線の幅が細いほど高まる。でも、細い線幅を生み出すには、反応密度の高いフォトレジストが必要になります。フォトレジストが微細加工の要なのです。

     3品目の1つ、フッ化水素は純度が低いものなら韓国で作れます。韓国製を使うと不良率が上がるので、韓国の半導体メーカー日本製が欲しい。でも、いざとなれば韓国製で間に合わせるでしょう。

     しかし、フォトレジストの国産化は当分、難しい。そのうえ、日本メーカー5社が全世界の9割のシェアを握っています。

     日本政府は3品目を全面禁輸したわけではなく「怪しげでない輸出」には許可を出しています。が、韓国とすれば日本が突然、フォトレジストの対韓輸出を止めないか気が気ではない。半導体の生産が完全に止まってしまうからです。

     そこで自由に輸入できる「ホワイト国」――現在の名称は「グループA」に戻せと要求しているのです。

    ■TSMCは米国側に立った

    ――なぜ今、要求してきたのでしょうか。

    鈴置:形式的には韓国政府が輸出管理体制を一応、整えたためですが、本質は米中覇権争いの激化にあると思われます。

     韓国を中国寄りと見なせば、米国がフォトレジストなど半導体素材の対韓輸出を日本に禁じる可能性が出てきました。その前に韓国は日本を抱き込んで糧道(りょうどう)を確保する作戦でしょう。(以下略)

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