もはや誰も覚えていない「プレミアムフライデー」はなぜ失敗したのか

  • ニュース全般
  • 天養
  • 20/06/12 14:02:31

・いつの間にか自然消滅状態に

 新型コロナウイルスにより、大きな苦難に見舞われた外食業界。先月25日に緊急事態宣言が解除されて以降、ようやく営業再開にこぎつけた飲食店も、休業要請・時短営業による売上激減で、未だその出口は見えずにいる。

【写真】年収500万円以上の30代独身男性は「普通の男」じゃないんです

 国や自治体からの休業補償や雇用助成金なども、焼け石に水な現状。政府が打ち出した「新しい生活様式」に飲食店が対応することのハードルの高さを見ても、いかに国の外食業界への支援策が脆弱であることが分かる。

 そんなコロナ禍にあって、すっかり忘れ去られてしまった国主導の施策がある――「プレミアムフライデー」だ。

 プレミアムフライデーは2017年2月、長時間労働の是正により、早い時間から買い物や旅行などをしてもらうことにより、個人消費を拡大させ、2020年までに名目GDP600兆円を達成するために作られた官民連携の消費活性策の制度だ。

 経済産業省および経済界が提唱・推進したこの制度は、広告代理店の博報堂が委託事業受託者として事務局を運営。具体的には、プレミアムフライデー推進協議会の特設サイトに、過ごし方の提案をまとめた直前情報や、各企業・自治体のキャンペーンやお得情報の発信を行っていた。

 プレミアムフライデーの実施日は、毎月末の金曜日15時に設定されていた。理由としては、「給与支給後の金曜日にすることで、より消費を促進できる」だというが、筆者の第一印象は、「いかにも役人の考えそうな制度」というものだった。

 さて、そんなプレミアムフライデーが今、どのような状況にあるかといえば、もはや“自然消滅”状態にあるのだ。

・今年1月で情報が途絶えた

前述したプレミアムフライデー推進協議会の特設サイトは、今のところ確認することができる。しかし、同サイトの「お知らせ」の欄を見てみると、それまでは毎月中旬と下旬に決まって発信していた「プレミアムフライデー」情報・直前情報が、今年1月30日を最後にピタッと更新を停止している。

 ちなみに、同サイトに加えて、経済産業省のニュースリリースでもこれまでプレミアムフライデーの情報がアナウンスされてきた。しかし、こちらも今年1月の情報で途絶えてしまっており、2月以降についてのアナウンスは一切なかった。まさに、“自然消滅”である。

 プレミアムフライデーが自然消滅した理由について、まず思いつくのが新型コロナウイルスの影響だろうか。新型コロナウイルスをめぐる主な動きを振り返ると、中国の武漢市で肺炎患者が確認されたのが昨年12月。その後、日本人の初感染確認がされたのが1月28日だ。

 つまるところ、日本で新型コロナウイルスが感染拡大するタイミングとプレミアムフライデーの情報発信が止まったタイミングは一致している。すでに2月末には大規模イベントの自粛要請や全国の学校への臨時休校要請がされていることからも、アナウンスこそなかったが、プレミアムフライデーも自粛に追い込まれたと考えるのが筋だろう。

 だが、プレミアムフライデーが自然消滅した原因をコロナ禍だけで片付けてよいものだろうか。筆者が携わる外食業界の目線で言わせてもらえば、「プレミアムフライデーは、コロナ禍が起きる以前からすでに失敗していた」のである。その理由について、今回は解説していきたい。

  • 0 いいね

利用ルール・禁止事項をご確認ください
誹謗中傷、個人情報、プライバシーを侵害する投稿は禁止しています。
また誹謗中傷においては、法改正により投稿者の情報開示について簡易な裁判手続きが導入されております。

古トピの為これ以上コメントできません

ママ達の声投稿されたコメントを掲載しています

画像表示ON・OFF

    • 20/06/12 22:07:25

    >>12
    コビット19も忘れられてる
    E電は何故か予測変換ででるけどコビット19は出ないほど忘れられてる

    • 0
    • 20/06/12 22:00:19

    都心とお役人とお金持ちには浸透するかもね?とうちら田舎で言っていたけど、それが国民の何割いるんだろうか?1割いる?

    • 0
    • 20/06/12 21:44:52

    大多数が25日が給料日なのかもしれないけど、うちは15日だし、結構25日以外も多いよね。なんか企画倒れだったよね

    • 0
    • 20/06/12 20:48:02

    • 0
    • 20/06/12 20:47:01

    こういう時こそ世界の渡部の出番だよなぁ

    • 0
    • 20/06/12 20:43:21

    首都圏の通勤JR線を意味する、[E電]を彷彿させるね。

    • 0
    • 20/06/12 16:20:19

    月末の金曜日ってのがまずダメだったんだよ

    • 0
    • 20/06/12 16:15:29

    絵空事

    • 0
    • 20/06/12 16:14:21

    私は覚えてるよ。
    毎週最終金曜になるとLINEの企業アカから「プレミアムフライデーセール!」みたいな宣伝メッセージ来るから毎月最終金曜日だけ毎回思い出してたw

    • 0
    • 20/06/12 14:14:24

    なんか夕方4時から飲んでますみたいな のワイドショーでやってたね
    ヤラセ感ありだけど

    • 4
    • 20/06/12 14:08:15

    もはや誰も覚えていないw
    確かにそんなのあったねっていま思い出した

    • 8
    • 20/06/12 14:07:40

    始まる前から絶対浸透しないゴミ施策だって、みんな分かってたよね

    • 3
    • 20/06/12 14:07:39

    月に一度だと忘れちゃうよね

    • 0
    • 20/06/12 14:05:51

    10月だか11月のブラックフライデーみたいなやつもなかったっけ?

    • 1
    • 20/06/12 14:05:31

    所詮は官僚の考え
    実態に則してないから、こんな結果になった

    「絵に描いた餅」w

    • 1
    • 20/06/12 14:05:24

    今回の執筆にあたり、当時参加していた企業・ブランドのホームページなどを再度見てみたが、「プレミアムフライデー」の文字はどこにも見当たらなかった。そう、プレミアムフライデーは外食業界においては自然消滅したのである。

     あえて触れてこなかったが、2019年3月に「プレミアム“キャッシュレス”フライデー」という、経産省曰く「コラボでパワーアップ」した施策が登場したことがある。だが、我々外食業界が興味を抱くことはなかった。なぜなら、その頃すでに各キャッシュレス決裁ブランド独自のキャンペーンがド派手に展開されており、そちらのほうがより前向きな内容だったからだ。

     莫大な税金を投入しては、浸透しない――。プレミアムフライデーに限った話ではないが、なぜ「お国の施策」はいつもこうなるのだろうか。末端の商いを理解していないどころか、そもそも本気で考えているのか疑いたくもなる。

     今、外食業界は商いを止められ、瀕死に追い込まれている。プレミアムフライデーのような失敗が見えていた施策ではなく、外食業界を守るための本気の施策を期待したいものだ。

    • 0
    • 20/06/12 14:04:38

    ・認知率と実施率の乖離

     「プレミアムフライデー」というワード自体は、読者の皆様も耳馴染みはあるはずだ。ネット調査の中にも「認知率は90%超え」という結果が出ていたように、国民の間にその存在は確かに浸透していたと考えられる。

     では一方で、プレミアムフライデーの実施率はどうだったのだろうか。2017年2月~2019年1月までの全17回の調査で、企業の実施率の平均値が発表されているので紹介する。

     それによれば、大企業において15%、中小・零細企業では9.1%に留まっている。90%以上もあった認知率と比べれば、いかに実施率と乖離しているか、また大企業と中小・零細企業とで乖離が目立つことがよく分かる。

     なぜ、これほどまで実施率が低かったのか。それを考えるにあたり、筆者もまた、このプレミアムフライデーを商戦と見て、準備と対策に追われたのを思い出した。コンサルタントとして、クライアントの外食企業にどのような指導を行なったのか――それを知るために、過去の資料を引っ張り出すと、以下のような内容が記されていた。

     「プレミアムフライデーが毎月末金曜日に設定されたことは、我々外食業界にとっては良いニュースではない。それは元来から給与支給後の金曜日は繁忙日であり、通常平日売り上げの1.5倍以上を売り上げられる大切な営業日である。金曜日15時退社になることにより、今まで以上に飲食店以外の業界にお客様が流れるリスクが上がってしまう」

     つまりその当時の外食業界は、プレミアムフライデーの扱いを「売り上げアップ」といったポジティブなものとは真逆の、「守備に徹すべき」というネガティブなものとして捉えていたのである。

    ・良くも悪くも影響がなかった
     当時、筆者はプレミアムフライデーにまつわる様々な課題を予測していた。15時~17時というイレギュラーな時間帯でのオペレーションによる労務環境の悪化、宣伝・販促費などのコストアップに伴う営業利益の低下などがそうだ。

     ただ同時に、「良くも悪くもそこまで浸透しない気がしているので、影響を気にするほどではない」とも考えていた。

     そもそも、一般企業にとって月末の金曜日も業務山積のはずで、キャンペーン実施には適さない向きがある。まして、個人消費の原資(稼ぎ)や小遣いが増えるわけではない。サラリーマンの小遣いが2011年以降ほぼ横ばい・微減という調査結果があるほか、当時の2016年家計調査(2人以上世帯)では消費支出マイナス1.7%(3年連続減少)を記録していたことからも、それは明らかだ。

     筆者の記憶を辿れば、2016年秋頃までは各企業とも比較的前向きにプレミアムフライデーに向けて準備をしていた記憶がある。しかし、年末年始でのメディアの報道や経産省などの控えめな発言から、開始前に相当熱が冷めたのを覚えている。

     一応、プレミアムフライデーの開始から約1年経った2018年5月には、セール・キャンペーン実施企業のうち(各業種)、約7割が来店増加を経験、売り上げについても約5割以上が増加となったというデータも出ている(新日本有限監査法人公式調査)。

     確かにそのデータ通り、東京・名古屋・大阪・福岡の都市圏では、対策を打った飲食店は一定の手応えを感じていたようだ。しかし問題は、地方・郊外においてはほぼ手応えが無かった点だ。

     そして半年も経過すると、“マンネリ感”や“飽き”というか、手応えはほぼ皆無となった。結局、プレミアムフライデーは良くも悪くも外食業界には影響がなかった、というのが大枠の現実なのである。

    ・一企業にも劣る「お国の施策」

     外食業界において、積極的にプレミアムフライデーを活用した企業といえば「串カツ田中」が有名だ。

     同ブランドは、2017年1月の最終金曜日に「フライングフライデーキャンペーン」なる施策を打ち出し、当時メディアでも注目を集めた。2月から施行のプレミアムフライデーを先行して実施したことからも、その本気度が見て取れる。

     その後も「串カツ全品100円キャンペーン」の実施、「特別メニュー串カツ豚『プレミアム串カツメガぶ~』」の提供など、暫くは毎月のように次々とプレミアムフライデー施策をリリースしていた。

     では競合他社はその頃どうしていたかといえば、「一応参加してみた」という雰囲気の企業がほとんどだ。開店時間を早める、ハッピーアワーの導入、特別メニューの販売など、いずれも通り一遍の対応で、積極的な企業は少なかった。

    • 0
※コメント欄のパトロールでYahoo!ニュースのAIを使用しています

新しいトークテーマを作ろう

子育てや家事、旦那に関する悩み相談、
TV、芸能人に関する雑談など何でもOK!

トピックランキング

もっと見る

コミュニティカテゴリ