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- 20/06/11 22:45:05
9歳少女が78歳男性と結婚、禁じられても残る「伝統」 ケニア
ケニアのサンブル族には、幼い子どもを結婚させるといった習慣が今も根強く残る
2015.10.12 Mon posted at 16:28 JST
ケニア・マララル(CNN) 制服姿で歌ったり踊ったりして笑顔を見せるユーニスさん(13)は、一見、ごく普通のケニア人の少女に見える。しかし同地のサンブル族の伝統に従って、9歳の時に78歳の男性との結婚を強要された心の傷は今も深く残る。
牧畜民族のサンブル族はマサイ族の「遠縁」に当たる民族で、幼い子どもを結婚させる習慣や女性の性器切除の習慣、少女と親類の男性に性行為をさせる習慣などが今も根強く残る。
こうした行為はケニアの法律で禁止され、ユーニスさんたちもそうした伝統を打ち破りたいという思いは強い。しかしそれは、家族や地域社会から疎外される危険も伴う。
「父は私が9歳の時に、78歳だった男性と結婚させた。私はその男性の家へ行き、1週間一緒に過ごした。まだ何も知らなかった私は学校へ行きたいと思っていたけれど、相手の男性は私を3人目の妻にしたがっていて、私が拒むとむちで殴った」。ユーニスさんはまだ生々しい記憶を振り返ってそう語る。
そんな時、子どもたちの救出活動をしている女性がいると聞き、ユーニスさんは裸足で逃げ出して同国中部のマララルにある保護施設に身を寄せた。
「ママ・クレア」ことジョセフィン・クレアさん
当時この施設には、同じような境遇から助け出された少女がほかに8人いた。同施設を運営するジョセフィン・クレアさんは、ケニア全土で家族に拒まれた200人あまりの少女たちから「ママ・クレア」と呼ばれ、母代わりになっている。
自身もユーニスさんと同じサンブル族の出身。他地域の全寮制学校に通って看護学を学ぶうちに、サンブル族の文化や伝統に疑問を持つようになったという。
救出活動を始めたのは2011年、最初に助けたのは自分のいとこ2人だった。「1人は10歳で結婚させられそうになっていた。幼い時に結婚させられた少女には性器切除が行われる。いとこが結婚させられると聞いたので、その子を助けて学校に連れて来た」
ところが2日後に電話で、7歳の妹が代わりに結婚させられることになったと知らされる。クレアさんは妹も救出し、少女のおじは逮捕された。ケニアではこの年に、幼い子どもの結婚や性器切除を禁止する法律が制定されていた。
施設には数多くの子どもたちが暮らす
警察と連携して活動を展開するクレアさんだが、それでも危険は伴う。幼い娘を結婚させようとした親や親類は、拘束されても短期間で釈放されることもあり、クレアさんの活動に対する地域社会の反発も根強い。
少女たちは結婚前に、早ければ7歳で、首飾りと引き換えに親類の男たちと性行為を強要される。首飾りの数が多いほど高い値が付く。結婚前に妊娠すれば人工中絶を強要されることもある。親類の子どもを産んだ女性は地域社会には受け入れられない。
幼少時の結婚や性器切除が法律で禁止されても、そうした習慣は根強く残る。
12歳のアンジェラさんは、友人が性器切除を強要され、出血して悲鳴を上げる様子を見て逃げ出し、クレアさんに助けられた。「9歳の時に父が私に性器切除を受けさせようとしたので、森に逃げた」と振り返る。
サンバル族の民族衣装や歌、踊りなどの伝統は誇りに思うというクレアさん。アンジェラさんやユーニスさんのような少女もいつか地元で活躍できるようになってほしいと願う。「希望はある。もっとたくさんの子どもたちが学校に通うようになれば、地域社会も変わるはず」と期待を語った。
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