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- 永徳
- 20/04/24 18:31:06
米ニューヨーク州で実施された大規模な調査で、新型コロナウイルスに感染して人工呼吸器を使用した患者の死亡率が90%近くにのぼったことが分かった。同州最大の民間医療機関「ノースウェル・ヘルス」が系列病院に入院した患者を調査し、米医師会報(JAMA)で発表した。報告書によれば、人工呼吸器を使用した患者のうち、18~65歳の患者の死亡率は76.4%で、65歳以上の死亡率は97.2%だった。
調査はノースウェル・ヘルスとファインスタイン医学研究所が共同で実施。3月1日から4月4日の間に、ノースウェル・ヘルスの12の系列病院に入院した5700人の患者について調べた。
ファインスタイン医学研究所のカリーナ・W・デービッドソン副所長は、「ニューヨークは今や、新型コロナウイルスの感染拡大の中心地だ。臨床医、科学者、統計学者や研究者たちはみんな、ノースウェルの系列病院に入院している大勢の患者に最高の医療を提供するために、休むことなく働いている」と語った。「ノースウェルと共同で実施した調査を通じて、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の患者についての臨床的・科学的な知識を提供していきたい」
<女性より男性の方が高い死亡率>
報告書は今回の調査について、「米国内でCOVID-19で入院した患者についての、初の大規模な症例報告」だとしている。ノースウェル・ヘルスはニューヨーク市、ロングアイランドとウエストチェスター郡に系列病院を持ち、患者数は1100万人近くにのぼる。
「デービッドソン博士とノースウェルの調査チームは、ニューヨークでの感染拡大における最前線の対応を理解する上で不可欠な情報を提供してくれた」と、ファインスタイン医学研究所のケビン・J・トレイシー所長は語る。「これらの観察研究と、当研究所が提供するその他の臨床研究の結果は、今後の看護の改善に役立つだろう」
調査の対象となった患者の半数以上は男性で、全ての対象患者の平均年齢は63歳。死亡率は、女性よりも男性の方が高かった。
全体の3分の1(1734人)に発熱の症状があり、呼吸が荒くなった人は986人、酸素吸入を受けた人は1584人だった。入院から退院までの平均期間は4日前後だった。
調査期間中に退院または死亡した2634人の患者のうち、「14.2%が集中治療室(ICU)で治療を受け、12.2%が人工呼吸器を使用し、3.2%が透析や腎臓移植を受け、21%が死亡」した。人工呼吸器につながれた患者のうち88.1%がその後死亡している。
「人工呼吸器を使わなかった患者の死亡率は、18~65歳で19.8%、65歳以上で26.6%だった。18歳未満の患者の死亡例はなかった」と報告書は説明している。
<持病と重症化の関係は>
退院または死亡した患者のうち、16.6%が50歳未満だった。退院または死亡した患者のどちらについても、ICUで治療を受けた、あるいは人工呼吸器につながれた人の割合は18~65歳の患者グループの方が(65歳以上の患者グループよりも)高かった。
調査対象の入院患者に最も多かった基礎疾患は、高血圧(全体の約56%)、肥満(42%)と糖尿病(34%)だった。
報告によれば、死亡した患者のうち「糖尿病の持病があった人は、そうではない人に比べて、人工呼吸器の装着やICUでの治療を受ける可能性が高かった。血圧については、高血圧ではない人の方が人工呼吸器の装着やICU治療を受ける傾向が強かった」という。また腎臓の機能が急激に低下した患者は、糖尿病の持病がなかった患者よりも、糖尿病患者の方に多かった」ということだ。
調査対象となった5700人のうち、調査が始まってから入院してきた患者は全体の2.2%で、調査終了時点でも入院中だった患者は3066人にのぼった。退院した患者のうち、再入院や別の施設(介護・リハビリ施設など)に転院した人は、年齢が高いほど多かった。
1回目のウイルス検査で陽性反応が出たのは全体の98%で、1.9%の患者は1回目が陰性で、再検査で陽性反応が出た。検査を受けた人のうち、同時に別の呼吸器系ウイルスにも感染していた人の割合は2.1%だった。
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