- なんでも
- 康平
- 20/04/11 21:36:12
石川県は十日、一歳未満から七十代の男女十九人が新型コロナウイルスに感染したと発表した。県内の感染者は累計で九十二人となった。県は中日本高速道路(名古屋市)とグループ会社、金沢市の繁華街にある飲食店でそれぞれクラスター(感染者集団)が発生したとして、厚生労働省にクラスター対策班の派遣を要請。谷本正憲知事は「発症に歯止めがかからない」と危機感を示し、感染拡大がこのまま進めば、県独自の緊急事態宣言を発令する可能性もあるとした。
一日当たりの判明者数は過去最多。知事は県内での複数のクラスター発生に触れ、「局面は大きく変わった」と強調。これまで外出自粛の都民に「無症状の人は石川にお越しいただけたら」などと呼び掛けた自らの発言に「結果として甘かった。気持ちを全面的に入れ替えて率直に反省しなければならない」と釈明した。一転して「石川に入っていただかない、という対応をとらざるを得ない」と述べ、感染拡大地域への往来を控えるよう県民に求めた。
県によると、クラスターとなった中日本高速の関係では、グループ会社勤務の四十代男性の妻である金沢市立病院の四十代看護師女性、小学生の娘、同居する六十代女性の感染も新たに判明し、感染者は計十二人に上った。金沢市の接客を伴う飲食店では従業員と客、その家族の計十一人が感染。客は三月下旬から四月初めに来店した。店側の同意が得られず、店名は公表しなかった。
県内で最年少となる一歳未満の男児は、八日に感染が判明したかほく市の三十代女性と同居しており、発熱などの症状は出ていない。感染者十九人のうち肺炎がある中等症は羽咋市の六十代開業医ら三人で、残る十六人は無症状か軽症。
金沢市の山野之義市長は十日、感染者の急増に「大変ショッキングな数字。緊急事態宣言に準ずるつもりで取り組んでいきたい」と述べ、市民に対し、市外の往来や夜の繁華街への自粛を求めた。
人口十万人当たりの感染者数(八日時点)を比較すると、石川県は五・七七人で全国四十七都道府県で四番目の多さとなった。福井県は八・六六人で全国二番目。北陸のこの二県は緊急事態宣言が出された東京都(九・七五人)や大阪府(五・九六人)に匹敵し、独自の緊急事態宣言を出した愛知県(三・六九人)などよりも緊迫した状況にある。
厚生労働省のホームページの数字をもとに比較。福井、石川両県は緊急事態宣言が出された神奈川(三・五六人)、埼玉(三・三〇人)、千葉(五・〇七人)、兵庫(三・九四人)、福岡(三・一五人)を上回る。富山県は一・三三人で二十九番目だが、石川県との往来も多く、今後急増する可能性もある。
一方、十日までの感染者数の累計は石川県が十一番目。福井県は十四番目で、富山県は三十三番目だった。石川県は十日に独自の「非常事態宣言」を出した岐阜県も上回る。「緊急事態宣言」の対象に加えるよう政府に要請している京都府に次ぐ多さとなっている。(阿部竹虎、小佐野慧太)
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