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- 匿名
- 20/02/15 01:32:46
2020/1/14 11:06
一時的に養育できなくなった子どもを数日間預かる「短期入所生活援助事業」(子どもショートステイ)の受け皿不足が指摘される中、鍵を握るのは里親の活用だ。育児疲れなどに悩む親の支え手となり、虐待予防にもつながるとして注目されつつあるが、日本ではなじみのない人も多い。福岡市で登録するショートステイ里親を訪ねた。
「もお、かわいくて仕方ないんです」。1カ月ぶりに家にやってきたコウキちゃん(1)=仮名=を抱っこしながら、大仁(おおに)香織さん(50)は笑顔を見せた。
大仁さんは2018年秋、福岡市による研修を受け、NPO法人「SOS子どもの村JAPAN」でショートステイ里親に登録した。その数カ月後、生後2カ月だったコウキちゃんを初めて預かって以来、1~2カ月に1回、1週間ずつ預かっている。
食事の補助や入浴、おむつ替え、寝かしつけ-。夫は単身赴任中のため、高校生の長男、中学生の次男、小学6年生の長女が率先して子守を手伝う。顔をくしゃくしゃにして笑い、両手を広げて抱っこを求めるコウキちゃんに、家族みんなが「メロメロ」だ。
責任も大きい。コウキちゃんがその日食べた食材や排せつ回数などは報告用のノートに細かく記録。自宅階段や台所の入り口など至る所に事故防止のための柵を設置する。
大仁さんとコウキちゃんの親との間には子どもの村が「調整役」として入り、両者が直接会うことはなく、ショートステイの利用理由も知らされない。大仁さんは言う。「育児は一人ではできないもの。自分も周りからたくさん支えられて子育てをしてきた分、今は支える側になりたい」
同市の長本智恵美さん(48)も昨年11月、ショートステイ里親として小学生と保育園児のきょうだい3人を12日間、預かった。朝、自分の職場に車で向かう前に保育園と小学校に送る。夕方、仕事を終えて保育園に迎えに行き、夜9時には一緒の布団で寝た。
長本さん自身、高校生の息子を育てるシングルマザー。ショートステイ里親を知らせるチラシを見て、里親登録に踏み切った。「裕福な暮らしでなくても、子どもに愛情を注ぐことならできる。自分が子育てする中でやってきたことなら、里親としてもできると思った」と話す。
■導入自治体まだ少数 制度の浸透が課題
児童福祉施設でショートステイを利用する場合、施設の場所が遠いと送迎する親の負担になり、子どもが学校や幼稚園などに通えなくなる可能性がある。近所に住む里親が預かることで通学・通園もできる。日常の延長線上で利用できる点が里親ショートステイのメリットだ。
兵庫県明石市が11年から導入、東京都では18年から6市区で里親や保育士などの「協力家庭」で受け入れているが、実施する自治体はまだ少ない。日本は欧米諸国と比べて里親制度が広く浸透しておらず、里親希望者の絶対数が足りていない。福岡市もショートステイ里親は5人にとどまる。
里親の活用を広げるには、子どもの病気やけがなど緊急時の対応、危機管理を担う支援機関が果たす役割も大きい。子どもの村の坂本雅子常務理事は「各自治体の児童福祉施設には、里親の相談を受ける支援員が配置されている。この支援員を活用し、地域の里親によるショートステイの仕組みづくりを全国で進めるべきだ」と話している。
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