【兵庫】軽自動車「2時間45キロ」の逃走劇

　逃走中に起こした事故を申告しなかったとして、千葉市の伊藤恵一容疑者（５２）が１４日、道路交通法違反の疑いで兵庫県警垂水署に逮捕された。

「阪神高速神戸線の脇浜付近を不審な車が走っている」

　同日午前１１時１０分ごろ、神戸市中央区の阪神高速を走行中の車から通報があった。
すぐに同県警の高速隊が出動し、同午後１２時２３分ごろ、西へ約１９キロ離れた同市垂水区の第二神明道路下り線の高丸ＩＣ付近で、手配中の水色の軽自動車を発見した。

　パトカー数台が赤色灯を点灯させ、サイレンを鳴らして追跡を開始。しかし軽自動車はパトカーの停止指示に一切従わず、南下した。一般道に降り、明石市内の狭い路地の住宅街を抜け、明石海峡大橋近くの神戸市垂水区の県道を走行中に前を走っていた軽自動車に衝突したが、そのまま逃走を続けた。

　応援に駆け付けたパトカーが次々加わり道路の封鎖を試みるも、軽自動車は構わず突破。覆面パトカーと合わせ、十数台で追跡を続けた。軽自動車は再び、第二神明道路に乗ると、明石市の西隣の加古川市内へ。
第二神明道路から西へ進んだ加古川バイパスから脇へ入り、住宅街に迷い込んだ。

「ヘリコプターも飛んどったし、いつになくサイレンの音が鳴り響いているなと思っていたんです。そしたらうちの前の狭い道路に、軽自動車とパトカー２台が立て続けに入ってきた。道路の先には３階建てのマンションがあり、袋小路になっているんです。

　１階部分は駐車場で、そこにパトカー２台で追い詰め、逃げ道をふさぎ、大柄の犯人を車から引きずり降ろし、うつぶせにして身柄を確保した。助手席には女の人がおりました。さすがにもう逃げられへんと観念したようで、おとなしく警察官の指示に従っていました。パトカーは現場に２台と、ちょっと離れた道路に６台ぐらい。あとバイパスにもおったから、辺りは騒然としていましたよ」（近隣住民）

　調べに対し、伊藤容疑者は「何かにぶつかった気がするが、覚えていない」とトボけ、逃走した理由については口を閉ざしているという。軽自動車のボンネットは衝突の弾みで折れ曲がり、フロントガラスにはいくつもヒビが入り、片方のヘッドライトが割れ、助手席のドアはへこんでいた。