• No.366 佃煮

    18/12/29 00:45:19


    「今は私だけを見て・・・」
    吐息を絡ませながら潤んだ瞳で愛は呟く。
    椎名は返事に詰まり、誤魔化すかのように激しく愛を求めた。
    壇蜜へは先日のミーティング後から連絡していない。引き際は分かっているのだろう、彼女からも連絡は来ていない。お互い大人の関係を楽しんだだけだった。椎名はそのつもりだった。
    ・・・愛は気付いていた?・・・
    疲れ果て、椎名にもたれかかる愛を抱きしめながら考えを巡らせていた。
    愛とも最初はこんなつもりじゃなかった。正直、愛はモテる。若くて豊満な身体、可愛い顔立ちで性格も良く仕事もできる・・・そんな彼女がモテないはずはない。会社の若い男の半数は彼女をチラチラ目で追っている。
    そんな彼女にアプローチされて落ちない男はいないだろう。自分もその一人だ。
    最初は妻と上手くいっておらず、寂しさを埋める為そういう関係になってしまったが、今では彼女が心の支えだ。
    「今は・・・君だけだよ。」
    罪悪感に苛まれながら、ウトウトしている愛に囁いた。

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