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- 18/04/08 13:23:46
4/8(日) 11:31
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冬季オリンピックシーズンが終わると、フィギュアスケートの世界では大きなルール改正の動きがある。
正式には2018年6月に発表されるが、すでに確定している変更事項があり、変わることが有力視されている事項もおおよそ、浮かび上がっている。
すでに決定しているのは、男子フリーの時間が4分30秒から4分に短縮になること、ジャンプの回数が最大8つから7つに減ることだ。
また、GOE(出来栄え点)が現行の+3から-3の7段階から、+5から-5の11段階となるのも確定しているようだ。
ジャンプの基礎点を下げて、出来栄え重視に。
現在はジャンプの種類やステップなどそれぞれに対して係数があり、GOEの加減点が定められている。
例えば3回転ジャンプはGOEが+3なら2.1点プラスに、トリプルアクセルはGOEが+3なら3点プラスといった具合だ。
11段階の場合、それぞれの段階でどう加減点されるのかは発表を待たなければいけないが、検討されていたのは、1段階ごとに「基礎点の10%を増減する」というものである。
さらにジャンプそれぞれの基礎点も下げる方向で検討が進められており、その得点も明らかとなっている。
望まれるのはオールラウンドで優れた選手。
仮にこれらをもとに現在と変更案の計算を比較すれば、以下のようになる。
○トリプルルッツ *( )内はGOE
<基礎点6.00→5.90>
【現在】 8.10(+3の場合) 3.90(-3の場合)
【変更案】 8.85(+3の場合) 2.95(-3の場合)
○4回転トウループ
<基礎点10.30→9.50>
【現在】 13.30(+3の場合) 7.30(-3の場合)
【変更案】 14.25(+3の場合) 4.75(-3の場合)
2つのジャンプを例にしたが、一部のジャンプを除けば、基礎点が下がっても出来栄えがよければ従来より高得点となり、悪ければ、もっと下がることになる。
こうしたさまざまな変更(案)の根底にあるのは、「オールラウンドに優れたスケーター」の待望である。
テクニックだけでなく、美しさにより比重が。
これは主に男子にかかわってくることだが、ジャンプの基礎点の変更案では4回転ジャンプ、特にルッツで2.10、ループで1.50と下げ幅が大きくなっている。
GOEを抜きにして考えれば、高難度の4回転ジャンプを跳ぶ選手とそうではない選手、4回転ジャンプの本数が多い選手と少ない選手の差は縮まる傾向となる。
ジャンプを1つ減らすことで、技術点と演技構成点のバランスも、多少ではあるが演技構成点の側に寄せる効果がある。
また、男女共通してGOEの段階が広がることから、より完成度が高く、美しく跳べる選手はこれまで以上の得点をもらえる。高難度のジャンプを数多くこなしたからといって大きくリードできるわけではなくなる。
演技に偏りのない選手がより好成績を残せるように、という意図がそこにはある。
一方で、フリーの演技時間が4分になることを危惧する声は、少なくない。
これまでは演技の半ばなどでひと息入れるタイミングがあったが、それが難しくなるからだ。
ルール変更で、羽生結弦有利になるかも!?
羽生結弦のコーチであるブライアン・オーサー氏も昨秋、フィギュアスケートサイト『icenetwork』の記事で、30秒短くなることに関してこう語っている。
「あらゆるエレメンツを行ない、トランジションや振り付け、意味やまとまりに注意を払ったプログラムを行うには、より優れたスケーターにならなければなりません。ただ、トップスケーターであっても、フィジカル的にとても難しいことであるでしょう」
新ルールでクリアすべき課題も出てくるが、いずれにしても、今回のルール改正ではオールラウンドに優れたスケーターにとって有利になることが予想される。
そう考えると、新しいルールでより強みを発揮する選手として、現状では羽生結弦の名前が浮かぶ。
例えば、平昌五輪のフリー『SEIMEI』の冒頭に跳んだ4回転サルコウは、+3ではおさまらない完璧なジャンプであったことを考えても、GOEが11段階に広がり、より詳細に出来栄えが評価されるのは有利にはたらく。
限られた時間の中で、あらゆる技術をどのように磨いていくか――。
それぞれの要素の完成度を高めながら偏りをなくし、トータルでレベルアップを図ることができるか。
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