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- 17/03/06 15:26:19
福岡県糸島市消防本部の職員13人が、同僚30人にパワーハラスメント行為を行っていた問題で市は3日、中心的な役割を担っていたとされる2人を免職としたほか、9人を停職や戒告の懲戒処分とし、残る2人を文書訓告とする処分を発表した。監督責任を怠ったとして、消防長ら管理職5人も戒告の懲戒処分とした。月形祐二市長は「市民の生命と財産を守る消防職員の誇りを汚し、市民の信頼を裏切った」と陳謝した。
市によると、処分は上司を公然と誹謗(ひぼう)中傷したり、職員同士の対立をあおったりした男性課長補佐(45)を公務員としての適格性に欠けるとして分限免職。若手職員に13キロの潜水ボンベを両手に1本ずつ2本の指で持たせて車庫内を往復させた後、腕立て伏せを命じ力尽きた姿を動画で撮るなどのしごきを繰り返した男性係長(43)を懲戒免職とした。他に同僚を無視するなどした4人(34~49歳)が3~6カ月の停職、5人が戒告など。
市の調査に対し、免職された2人はパワハラ行為を全面否認。他の11人も一部しか認めていないという。
パワハラ行為は昨年7月、加害職員の名前が記された告発文書が市に届いたことなどから発覚。市は2011年、聞き取り調査を受けて13人のうち2人を訓告処分にしたが、一連の行為はその後も続いていた。市は今後、幹部職員を外部から登用するなど、再発防止策を図る。
「閉鎖性」温床、発覚遅れる
福岡県の糸島市消防本部職員13人による集団パワーハラスメント。市は記者会見で、長年にわたる猛烈なしごきや嫌がらせの実態を明らかにし「消防職員約100人の半数以上が影響下にあった」とした。過去にはパワハラの内部告発者が標的にされたこともあった。外部の目が届かない閉鎖性が温床となり、報復への恐怖が発覚を遅らせていたとみられる。
市によると、パワハラは2008年以降、訓練を装うなどして日常的に行われていた。100~千回の腕立て伏せをさせたり、部下の体をロープで鉄棒につないだ状態で懸垂を命じ、力尽きると約30分間宙づりにさせたりしていた。「口から泡を吹き、失神する職員もいた。死人が出なくて良かった」と市関係者。
内部告発は過去にも数回あったという。だが、パワハラの認定どころか、情報管理の甘さから告発者が特定され、その後、標的になっていた。洞孝文総務部長は会見で「これも恐怖心につながった、と話す職員もいた」と明かした。
グループは「幕府」と称し、中心とされる男性課長補佐は、幹部を公然と「ポンコツ」「ぼんくら」と中傷、普段から反抗していたという。浜地広喜消防長は「以前から(パワハラは)耳に入っていた。指導したが改善できなかった。閉ざされた空間で、ゆがんだ人間関係が形成されていた」とうなだれた。
再発防止には形骸化が指摘される通報制度の改善などとともに、強力なリーダーシップが求められる。記者会見で「風通しの良い組織にしたい」と述べた月形祐二市長の実行力が問われている。
=西日本新聞朝刊=
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