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- 16/11/30 10:59:50
東洋経済オンライン 11/30(水) 5:00配信
白菜を収穫する農家(本文とは直接関係はありません。記者撮影)
日々の食卓に欠かせない野菜。気温が下がるにつれ、鍋物の具材としても需要が高まるシーズン。だが、その価格は当面、高値圏での推移が続きそうだ。
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10月からの野菜高騰は、8~9月の長雨や日照不足が大きく影響している。10月はまさに「高騰」という言葉がぴったり当てはまる状況だったが、現在は多少落ちついている。「適切な産地での調達を増やしたことで、必要な供給量は確保している」(イトーヨーカ堂)。「例年より高いが、ピークは超した感じはある」(イオンリテール)。少しずつ買いやすくなってきたと感じている消費者も多いだろう。
しかし、多くの野菜がまだ高値圏だ。農林水産省が24日発表した「食品価格動向調査」では、キャベツは1キログラムあたり375円。過去5年間の平均価格と比べて約2.5倍だ。トマトは同約3割高い1キログラムあたり947円となっている。
■かつての価格と大きなギャップ
それでは生産農家の現状はどうなのか。レタスなど青果の集荷・販売を手掛けるジャパン アグリ イノベーション(茨城県古河市)の本田量規社長は、「異常な高値が収まっただけで、青果の価格は高止まりが続く」と語る。同社は関東や中部、九州などでレタス農家を組織化しているが、「8~9月の天候不順は全国的だったので、生育不足は全国的な傾向」(同)という。
現在も出荷は例年より少ないままだ。「この出荷量ではスーパーが特売を打つのは難しい」(同)。たとえばレタス。供給が順調な時は一玉98円や128円で売られることも少なくなかった。しかし現状では、198円や258円といった価格が一つの目安になってきている。価格が戻ったといっても、かつての安値とのギャップは大きい。
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それ以外の野菜は?
それ以外の青果も高値圏が続きそう。キャベツは群馬県産、白菜は茨城県産のシェアが高く、事実上の「プライスリーダー」だが、それらの出荷が思わしくなく、来年に入っても供給不足が懸念されている。
これから鍋物用に需要の増える白菜は、漬け物など業務用でも品不足が顕著で、業者間で取り合いになっているという。関東圏では11月としては54年ぶりとなった24日の積雪も、白菜の生育状況に影響を与えそうだ。
さらに影響が懸念されるのがジャガイモだ。6~7月の北海道での天候不順で種芋が不足していると言われている。年明け以降、産地は九州などに広がるが、種芋そのものが不足しているため、出荷はしばらく例年を下回る状況が続きそうだ。
■輸入野菜拡大の動き
販売するスーパーでは、野菜の高止まりが消費に与える影響を懸念する声もある。その中で再び起きているのが、輸入野菜を増やす動きだ。首都圏と関西圏に食品スーパーを展開するライフコーポレーションは、来春にかけてタマネギの供給が減ると見越して、タイやオーストラリアからの輸入を検討している。
輸入野菜の活用はカット野菜や業務用でも広がっているようだ。11月下旬には、植物検疫に関する規則改正で検査対象となる病害虫が増え、中国産キャベツなどの輸入が停滞するとも言われたが、現状で影響はほとんどないと見られる。
ジャパン アグリ イノベーションの本田社長は「国産の野菜が高止まりする結果、輸入野菜に取って代わられることがこわい」と言う。相場高は農家にとって決して悪い話ではないが、長い目で見れば、国産野菜への需要減につながり、農家自身の首を絞めることにもなりかねない。農家にとっても野菜の安定供給は大きな課題として残されている。
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20161130-00146958-toyo-bus_all
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