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刑事事件の被告が一審の判決前に保釈された件数は昨年1年間で1万4233件あり、過去10年間で最多だったことが最高裁のまとめで分かった。司法制度改革などを背景に、被告をなるべく拘束しないようにする流れがある。他方で、保釈中の被告が別の事件に関与するケースもあり、対策を求める声があがる。
保釈は、身柄を拘束されている被告が証拠隠滅をしたり、逃亡したりするおそれがないと裁判官に判断されれば、保証金を納めたうえで拘置所などから解放される仕組み。
最高裁のまとめでは、昨年1年間で1万4233件の保釈があり、10年前の2005年より約3800件増えた。勾留された被告の25・7%が保釈され、10年前の12・6%から倍増。罪名別では、強制わいせつや強姦(ごうかん)などの性犯罪で起訴された被告の保釈率は32・2%で、10年前より8・1ポイント増加した。覚醒剤取締法違反では21・9%(13・8ポイント増)、殺人・殺人未遂は7・7%(5・3ポイント増)だった。
ログイン前の続き保釈率は1970年代には50%前後だったが、次第に厳格になり、00年ごろには10%台に低下。日本弁護士連合会は、国際人権規約で「裁判を受ける人を抑留することが原則であってはならない」と定めていることを挙げ、保釈を原則とするべきだと主張。「起訴内容を認めさせるために、起訴後も被告を拘束する『人質司法』になっている」と批判し、裁判所に改善を求めてきた。
こうした中、裁判員制度の導入が決まり、市民の負担も考慮して裁判をスピードアップさせるため、裁判所、検察、弁護人の間で事前に争点を絞り込む「公判前整理手続き」が05年に導入された。絞り込むには被告と弁護人が長時間打ち合わせる必要があるほか、論点が整理されるため証拠隠滅の可能性が減少。保釈を認める傾向になったという。
ただ、保釈中の被告が別事件で起訴される数も増加。法務省の犯罪白書によると、2014年には140件あり、10年前の04年の72件から倍増した。内訳は窃盗が46件、覚醒剤取締法違反が40件。傷害は7件、強姦も1件あった。和歌山市で4人が死傷した拳銃発砲事件でも、被告は保釈中だった。
諸沢英道・常磐大元学長(刑事政策)は「犯罪予防の対策がないまま身柄の拘束を控えてきたことに問題がある。保釈の際の引受人を制度化したり、再犯した場合の刑を特に重くしたりするなどの対策を進めるべきだ」と指摘する。
一方、日弁連の水野英樹・刑事弁護センター副委員長は「再び犯罪にかかわると裁判官が予測したり、誰かが常時見ていたりすることは不可能だ。数少ない『例外』のために、保釈しても問題のない人を拘束するのは本末転倒だ」と話す。(河原田慎一)
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