カレーライス
藤村美里 | フリーランスライター、TVディレクター
2016年5月30日 23時0分配信
9年前、私が妊婦になった頃は、まだ知らない人の方が多かったマタニティマーク。その後、認知度が上がり、電車内で席を譲ってくれることもあると聞いていたのだが、最近その状況は大きく変わっている。
認知度が高まったが故に、妊婦さんたちは「妊婦だと知られることが怖くて、安易には付けられない」というのだ。
Twitterのまとめサイトには、妊婦だということで『故意に足をかけられた』『お腹を殴られた』『ホームに突き落とされた』と、信じられないようなコメントが並ぶ。そのほとんどが、誰もが乗る公共交通機関での出来事だ。
1年ほど前から話には聞いていたが、ごく一部の人が経験したことが、SNSで大きく広がっているだけだと思い込んでいた。しかし、少なくとも首都圏においては、そうではなかった。
・なぜ付けないのか?妊産婦さんたちが語る、その理由は
先日、別の取材に関連する形で、FBを通じて妊産婦さんたちに問い掛けた。『怖い思いをするからとマタニティマークを付けなかったという妊婦さん、ご存知ですか?』と。あくまでも友人限定のFB。それなのに、実際に怖い経験があったり、マタニティマークは付けない(付けなかった)というコメントが並んだのだ。
そして、何よりも驚いたのは、彼女たちが萎縮していて『妊婦で申し訳ない』という気持ちを持っていたことだ。彼女たちは会社員として働いていたために、電車通勤をするしかなかった人たち。何も悪いことはしていない。
「1人目妊娠中には付けてましたが、2人目の時は隠したりしてました。1人目の時、優先席で立っていたら、座ってる元気そうなアラフィフくらいのご夫婦に『絶対譲らないからな、何様のつもりだ!』とブツブツ言われ続けたので…。」
そう話すのは、1人目を2011年、2人目を2013年に出産したAさん。
「そんなことがあったので、2人目の時は、優先席付近にはあまり行かなかったかもしれません。座ってる方も、優先席だと譲らなきゃならないと思う人が多いけど、普通席なら譲らなくてもいいと思いそうなので、その方が気が楽でした。譲ってもらえた時も、なんだか申し訳ない気持ちがあって、ひたすら目をつむって寝てました。また何か言われそうで。」
譲ってもらっても申し訳ない、譲ってもらうことになってしまうから優先席の近くには座らないというのだ。妊婦を含め、立っているのが辛い人のための優先席だというのに…。この意見はかなり多く、Bさんも同じ意見だった。
「1人目の時は普通に付けていたけれど、3ヶ月前に出産した第2子の時は、”マタニティマークは危険!?”という記事を読んで怖くなったこともあって、見えないように隠して付けていました。優先席に座れた時だけ見えるようにして。特に危険な目にあったことはなかったけど、何かあってからじゃ遅いですから。
座った後、見えるようにしていたのは『妊婦なので譲れません』よりは『妊婦なので座らせてもらってます』『理由なく座ってるわけではないです』って気持ちだったから。でも、マークを付けていても、優先席に座るのはやっぱりなんだか気が引けて、基本的には優先席ではなく普通の席に座っていました。座れなくて席の前に立つときは必ず、マタニティマークを隠していました。前に立たれた人は、譲って!ってプレッシャーを感じてしまうかも?と思っていたので。お腹が目立つようになってからは普通の席の前にも立たず、ドアの横に立っていましたね。ほんと悲しい世の中です…。」
・病院では「危ないから付けないように」という指導も
・『卵子の老化』が話題になり、妊婦に対する視線が変化した
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