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- 16/04/30 07:18:27
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160430-00000012-mai-sctch
熊本地震から半月。地震回数は既に1000回を超え、29日には大分県で震度5強の地震があり、被災者は不安を募らせている。地震はいつまで続くのか、さらに広域化するのか、阿蘇山噴火への影響は--。専門家によるこれまでの調査から「連鎖地震」の姿を追った。【藤野基文、岡田英、五十嵐和大】
【熊本県から大分県にかけての地震活動の震央分布】
「徐々に地震の回数は減っており、終息する方向にあると思う。ただし、少し大きな地震と小さな地震が起きながら収まっていくので、今回よりもう少し大きい地震が発生することはあり得る」。佐藤比呂志・東京大地震研究所教授(構造地質学)は、大分県側の地震について説明する。
熊本地震は14日に日奈久(ひなぐ)断層帯でマグニチュード(M)6.5、16日には隣接する布田川(ふたがわ)断層帯でM7.3の地震が起き、いずれも最大震度7を観測した。その後、阿蘇地方や大分県側にも「飛び火」のように拡大し、16日に同県中部でM5.4、最大震度5弱の地震が起きた。
大分側の地震について産業技術総合研究所の石川有三・招聘(しょうへい)研究員(地震学)は、別府-万年山(はねやま)断層帯の一部の由布院断層で起きた可能性が高いと指摘。その上で「29日の地震でも震源域は広がっていないようだ。新たな地震活動の誘発を心配することはない」と話し、M7級の地震が起きる可能性は低いとみる。
熊本、阿蘇地方を含めた今回の震源域全体の地震活動は今後どうなるのか。石川研究員は「2004年の新潟県中越地震では本震の2カ月後にもM5級の地震が起きている。現在の震源域内でもM5級の地震が起きるかもしれない」と警戒を呼びかける。
一方、日奈久断層帯について、林愛明・京都大教授(地震地質学)は「南西区間約30キロが割れ残っている」と説明。全体で長さ約81キロとされる同断層帯の南西部分で、今後も大きな地震の可能性があると注意を促している。
◇震源域の広域化 「沖縄トラフ」に注意
地震の震源域がさらに広域化することはあるのか。西日本に甚大な被害が想定される南海トラフ地震との関連には、多くの専門家が懐疑的だ。山岡耕春(こうしゅん)・名古屋大教授(地震学)は「(南海トラフ地震の前に)内陸で地震が活発化するのは、西は中国地方まで」と、熊本地震が南海トラフ地震の前兆との見方を否定する。
むしろ、関連が指摘されるのは、九州西方沖から台湾の北方に広がる海底盆地「沖縄トラフ」だ。トラフの地盤には南北に引っ張られる力がかかっており、熊本地震が起きた別府-島原地溝帯はその延長線上にある。昨年11月14日には、同トラフ領域の薩摩半島西沖でM7.0の地震が発生。鹿児島・佐賀両県で最大震度4を観測した。
古村孝志・東大地震研教授(地震学)はこの地震を「一連の地震活動と捉えられる」として、熊本地震の「前触れ」だった可能性に言及。松島健・九州大准教授(固体地球物理学)も「熊本地震と地盤のずれ方が似ている。同じ別府-島原地溝帯に位置する島原半島をはじめ、沖縄トラフにかけての広い地域で大きな地震が起きる可能性がある」と指摘する。一方、中村衛・琉球大教授(地震学)は「熊本に近い領域での影響はあり得るが、遠い沖縄には及ばない」とみている。
九州東部には四国から近畿に及ぶ国内最大級の断層群「中央構造線断層帯」が伸びる。16世紀末に別府湾で起きた大地震の4日後に近畿でも大地震があり、関連性が指摘されているが、熊本地震の影響が中央構造線に及ぶかについては、専門家の間でも意見が分かれている。松島准教授は「一連の地震は中央構造線の延長線上で起きており、連鎖してもおかしくない」と指摘。これに対し、古村教授は「別府-島原地溝帯は中央構造線と力のかかり方やできた経緯が異なり、力は及ばないのではないか」と連鎖に否定的な見解を示す。
◇阿蘇山への影響 マグマ圧力低下か
阿蘇山への影響はあるのか。防災科学技術研究所の藤田英輔・総括主任研究員(火山物理学)の解析により、本震を引き起こした布田川断層帯に最も近い火口直下のマグマだまりが、南西方向に40センチほど引っ張られて「ラグビーボール状」に変形した可能性があると分かった。中岳火口周囲の地盤が最大約30センチ沈下したとする国土地理院の解析結果とも一致し、マグマだまり内部にかかる圧力が地震前に比べ数%下がった可能性があるという。
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