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- 匿名
- 15/12/26 17:20:11
「長ラン」に「短ラン」「ボンタン」。
1980年代に中高生らが好んだ変型学生服を取りそろえ、人気を集めた札幌・狸小路2丁目の衣料品店「紅屋」が27日、閉店する。当時は「ヤンキー」や「ツッパリ」と呼ばれる少年の間で、不良っぽいファッションとして流行したが、近年は若者の意識が変化し、売り上げが激減していた。 紅屋は49年に創業。店先で太鼓を打ち鳴らして安売りする「ドンドン市の紅屋」として知られ、70年代には市内に7店を構えた。もともと学生服も販売していたが、80年代から変型学生服を豊富にそろえ、客層は若者が中心になった。
詰め襟の上着の丈が長い「長ラン」、丈が極端に短い「短ラン」、ズボンの太ももの部分が太い「ボンタン」が次々に売れた。上着の裏地に竜や虎の刺しゅうが入ったデザインも人気で、学生服売り場のあった2階は中高生の熱気に包まれた。
紅屋の矢口雅人取締役部長(64)は「学生服の専門店として、学生服なら何でも売ろうと考えた」と振り返る。
教育関係者からは「非行を助長している」と批判され札幌市内の中学校20校の指定制服の販売店だったが、ほとんど指定を外されたという。それでも販売を続けたのは、大衆の店を自任していたからだ。矢口さんは「変型学生服は子供たちの精いっぱいの自己主張であり、社会への抵抗でもあった。そういう生徒の味方でありたかった」。
90年代に入ると、変型学生服を着る中高生が減り、制服にブレザーを導入する学校が増加。紅屋も変型学生服の販売をやめた。 その後もTシャツやジーンズなど格安のカジュアル衣料を充実させてきたが、 近年はインターネット通販や郊外のショッピングモールで洋服を買う若者が増え、売り上げはピーク時の1割まで減少。閉店を決断した。
10月から閉店セールを始めると、40~50代になったかつての常連が再び来店している。
札幌市中央区の会社役員の男性(48)は「紅屋にはシルエットが格好いいボンタンがあり、店にいるだけでわくわくした。 店内で他のグループとガンの飛ばし合い(にらみ合い)もしたなあ」と笑う。
「紅屋は青春そのものだった」と感慨深げだ。
北海道新聞
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