財務省人口減少による学級減を理由に公立小・中学校の教職員を約４万２千人減

　財務省は５月１１日、人口減少による学級減を理由に、公立小・中学校の教職員を平成３６年度までに約４万２千人減らすとした試算をまとめた。同日に開かれた財政制度等審議会で示した。同省は、政府が６月にまとめる３２年度までの財政健全化計画に盛り込む方針だ。これに対し、下村博文文科相は「減らすというのは机上の空論」と批判した。

　財務省は、２７年度の公立小・中学校教員６９万３５００人を、１０年後には全体の６％を減らし、６５万１千人にすると試算している。

　具体的には、学級数に応じて教員が決まる「基礎定数」を、少子化による自然減として３万７７００人減らせると見込む。これとは別に、アクティブ・ラーニングなど少人数教育のための教員枠である加配定数の４２２１人を削減する合理化計画を示した。合計で４万１９１２人の小・中学校教員が減ることとなり、これにより、人件費の国庫負担７８０億円の削減を求める。

　２７年度の義務教育予算約１兆７千億円のうち、人件費が占めるのは、９割に当たる１兆５千億円となっている。

　このほか、世帯所得に連動した国立大学の学費値上げや救急車による軽症者の緊急搬送の有料化などを提言した。

　政府がまとめる財政健全化計画では、指標とする国と地方の基礎的財政収支（プライマリーバランス）の赤字のうち、歳出削減などで圧縮する目標額を９・４兆円とした。財務省はこれに、教員人件費の国庫負担削減額などを盛り込みたい考えだ。

　麻生太郎副総理・財務相は５月末までには、財政審の建議をまとめ、政府の経済財政諮問会議に報告する予定だ。