携帯官能小説 へのコメント(No.334

  • No.334 匿名

    15/02/02 21:22:39

    浩介が入院して一週間後に曾孫が産まれたのだ。
    恵は浩介に曾孫の写真を見せながら、可愛いわねぇと目を細めて笑った。

    浩介の目からは涙が流れた。
    『嬉しいね。』
    恵は話せない浩介の気持ちを口にしながら涙を拭いた。

    浩介が倒れる前日まで、当たり前のように背中の流し合いをしていた恵は、浩介は助かるはずだと信じていた。

    しかし、それから間もなくして浩介は、最期の時を迎えた。
    モルヒネで意識朦朧とする中、恵の手を握り締めると、
    『あ…い…して…る…よ、めぐ…み…』
    と必死に伝えた。
    『こうくん、愛してるよ、ずっとずっと。』
    恵は頬を伝う涙を拭うこともせず、両手で浩介の手を握り締めていた。

    享年、78歳だった。

    浩介を亡くした5ヶ月後、今日は生きていれば浩介の79歳の誕生日だった。
    恵は、1人で座間味島へと向かった。
    ペンションの部屋のテラスから海を眺め、目を閉じて潮騒を聴いていた。
    手には写真立てを持っていた。

    『恵、何してんの?』
    浩介が後ろからギュッと恵を抱きしめた。振り向いた恵に優しくキスをする。

    恵は静かに目を開けると、部屋の中を見た。
    ベッドに座る高校生の恵と教師の浩介が、優しくキスをしていた。
    テラスに目を向ける。
    優しい浩介の笑顔がはっきりと思い浮かぶ。

    恵はまた海の方を見た。
    そして、手に持った写真立てを自分の方に向けると、
    『こうくん、愛してるよ』
    と笑顔で言った。

    写真立ての中では、新緑が輝く中で、あの頃より遙かに年を取った浩介が優しく笑っていた。

    ―完―

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