- ニュース全般
- 匿名
- 13/11/28 01:32:02
60年前に別の新生児と取り違えられ、貧困を強いられたなどとして、東京都の男性(60)らが病院を運営する社会福祉法人・賛育会(墨田区)に損害賠償を求めた訴訟の判決が26日、東京地裁であった。
宮坂昌利裁判長は「男性の本来の家庭は裕福だったのに、高等教育を受ける機会を失わせて精神的な苦痛を与えた」と認定。
計3800万円の支払いを同会に命じた。
判決によると、男性は1953年3月に同区の「賛育会病院」で出生。
この病院で13分後に生まれた子と取り違えられ、別の夫婦の実子として育てられた。
男性の戸籍上の父親は55年に死去。
生活保護を受け、兄2人とともに母親に女手一つで育てられながら中学を卒業し、町工場に就職した。働きながら定時制の工業高校を卒業し、今はトラック運転手をしている。
一方、男性の実の両親(いずれも故人)は経済的にゆとりがあり、誤って引き取られた子も含めて、兄弟計4人はいずれも私立高校から大学に進学した。
判決はまず、DNA型鑑定から病院で取り違えったと指摘。「家庭環境だけで必然的に学歴が決まるわけではない」としながら、およそ大学進学を望めない環境が精神的な苦痛を与えたと認めた。
約59年間、肉親との交流を一切持てなかったことも考慮し、男性が受け取るべき慰謝料は3200万円とした。
また、男性の実の両親は「生前に取り違えを認識していなかったとしても、実の子と生活する機会を永遠に奪われたという精神的な損害が生じた」と指摘。相続分として、男性の実の弟3人に計600万円を支払うよう病院側に命じた。
DNA型鑑定で、弟3人と「兄」との血縁関係がないと判明したのは2009年1月。
顔が似ていないうえ、母親が生前、「自分のもとに連れてこられた新生児は、用意していたのとは違う産着を着せられていた」と話しており、3人は疑うようになった。
3人はその後、病院の分娩(ぶんべん)台帳の証拠保全を東京地裁に申し立てて認められ、実の兄を捜し出した。
代理人の大島良子弁護士によると、裁判では和解が勧告されたが、男性は「取り違えの事実を判決ではっきり判断してほしい」と固辞。判決後に「訴えが認められて安心した」と話したという。賛育会は「判決内容をすべて確認しておらず、現時点ではコメントできない」としている。
- 0 いいね