• No.2 匿名

    12/11/11 21:24:12

    ■狂う人生、地道でいいから…

     詐欺グループの受け子たちは、金銭欲などに駆られて犯行に加担した末、真っ先に逮捕され、自身だけでなく家族や周囲の人たちの人生を狂わせるケースも多い。

    奈良県警が同様の詐欺事件で逮捕した東京都足立区の飲食店員の男(32)も、その1人だ。

    男は7月上旬、奈良県桜井市内の60代女性と岐阜市内の70代女性に架空の株式購入話を持ちかけ、現金計約940万円をだまし取った詐欺事件で受け子を担当。県警と被害者の「だまされたふり作戦」で8月3日に逮捕された。

    10月19日に奈良地裁で開かれた初公判では、男の父親が証言台に立ち、逮捕が男の結婚式の2日前だったことを告白した。

    突然連絡が取れなくなり、「事故に遭ったのでは…」と心配していたところ、まさかの逮捕を知らされたという。

    父親は、男の妻が妊娠中で、逮捕後は収入がなく、生活保護を受給して暮らしており、初公判当日の早朝に破水して入院したことも明らかにした。

    さらに、妻の現在の心境を語る言葉も、父親の口から伝えられた。

    「地道なものでいいから、きちっとした家族生活が送りたい。人間関係を清算して普通の企業に就職し、社会経験を積んでほしい」


    ■なかなか見えない中枢

     捜査関係者によると、詐欺グループにはこうした受け子のほかにも、被害者に電話をかける「掛け子」や、振り込ませた現金をATMから引き出す「出し子」などがいる。

    しかし、こうした末端メンバーを逮捕しても、ほとんどがグループの全容を知らされていないため、元締めまで到達しないという。

    また、詐欺に使う銀行口座や携帯電話などを用意する組織もそれぞれ独立しており、被害者の着信履歴や振込先の口座からグループの中枢部に捜査の手を伸ばすことも難しいという。

    こうした状況の中で、被害を把握した各都道府県警は情報交換を重ね、詐欺グループが潜伏するアジトを突き止めて捜査員を派遣。24時間態勢で監視し、容疑を固めていく地道な捜査を続けている。

    捜査関係者は「詐欺グループのメンバーを立件するため証拠をそろえるには長い時間を要する。被害が多発する中で捜査が追いついていないのが現状だ」と悔しさをにじませる。

    それでも「被害者には高齢者が多く、生涯かけて積み立てた虎の子の財産が根こそぎ奪われている」とし、「卑劣な犯行は絶対に許さない」と厳しい姿勢で捜査に臨んでいる。

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