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- 12/11/04 10:49:04
子供服に安全基準を 遊具にひかかるなど…77%が事故経験
産経新聞 11月4日(日)10時0分配信
衣服が遊具などにひっかかる事故を防ぐため、子供服に安全基準を設けようと、国が検討会を設置した。国際的に通用する基準づくりを念頭に、子供服の安全性に目を向ける動きが広がっている。(戸谷真美)
◆77%が事故経験
「服の裾のひもが電車のドアに挟まりそうになり、『危ないな』と思うことがよくある」。東京都武蔵野市に住む2歳と9カ月の男児の母(35)はこう話す。走れるようになった長男は、何かに興味を持つとすぐ駆け寄っていく。「落ち着かない子でけがもしょっちゅう。服のせいだと思ったことはないが、危ないシーンはたくさんある」
都が平成18年に保護者約1100人を対象に行った調査では、ひやりとした経験も含め、事故の経験がある人は77%。具体的には、「靴下やタイツでフローリングの床などで滑って転んだ」が68%、「上着のファスナーで顔や首を引っかいた、または皮膚を挟んだ」が34%で続いた。
日本小児科学会の報告では今年3月、4歳の女児のパーカーのフードが玄関ドアの取っ手に引っかかり、窒息事故が発生。女児は回復したが、同学会は「衣服の構造を変えることが必要だ」と指摘している。
経済産業省によると、米国や英国、EU(欧州連合)では既に子供服の安全性に基準がある。国内では、メーカーなどの業界団体による自主的なガイドラインはあるが、統一された公的な規格はない。
同省は10月、アパレルや流通など関連業者や製品安全や規格の専門家、消費者団体の代表などによる検討会を設置。海外規格の調査とともに、国内の実情に合わせた規格づくりを目指す。将来的に国際標準としても通用する日本工業規格(JIS)の策定も視野に入れている。
統一規格によってデザイン面で制約が出る可能性もある。だが、アパレル出身の委員の一人は「海外、特にアジア市場は無視できない。国際的な基準ができる方が取り組みやすいのではないか」と話す。
◆独自の基準を運用
独自の基準を設け、運用している専門店やメーカーも多い。
子供用品販売大手の赤ちゃん本舗(大阪市中央区)は19年、衣料品に関する安全基準を策定。フードの引きひもは付けない▽ウエスト調節や上着の裾のひもは内側▽食品に類似したボタンなどは避ける-といった基準を、製造や仕入れ、店頭でチェック。同社は「デザインと安全のせめぎ合いはある。だが、気づかれることは少なくても子供服では安全面の配慮は欠かせない」。
検討会では、消費者に衣服による事故の危険があることを周知すべきだという意見も出されており、消費者にも安全性を考慮した選択が求められていると言えそうだ。
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