• No.27 匿名

    12/07/06 00:42:14

     特定医療法人健生会「土庫(どんご)病院」(奈良県大和高田市日之出町、山西行造院長)が2010年9月、検査を受けた男性(53)に対し、胃がんの結果が出たのに胃潰瘍と誤って告げたうえ、1年間気付かず、放置していたことが関係者への取材で分かった。病院はミスを認めて謝罪したが、男性はその後、末期がんと判明。治療を続けていたが、今月3日亡くなった。家族は損害賠償などを求めて提訴する方針。

     亡くなったのは、同県橿原市の建設業、石田政裕さん。10年2月、同県内の別の病院で胃カメラ検査を受け、胃潰瘍と診断された。ただ、念のため、同9月9日、土庫病院で改めて検査を受けた。同病院によると、胃カメラと細胞検査の結果、検査を担当した医師が胃がんと診断。しかし、同28日、別の男性医師が大腸など他の検査結果は本人に伝えたが、胃は2月の検査結果を見て胃潰瘍と思い込み、本人に胃潰瘍と告げて胃薬を処方した。胃がんとした最新の書類や写真などの検査結果が手元に届いていたが、男性医師は見ていなかったという。

     石田さんが1年後の昨年9月に土庫病院で人間ドックを受けた際、前回の検査で胃がんとした検査結果が見つかり、告知ミスが判明。すぐに兵庫県内の病院で手術を受けたが、腹膜播種(はしゅ)(腹部の中にがん細胞が散らばった状態)が確認され、手がつけられず閉腹。末期がんと診断された。同11月、セカンドオピニオンを得るために診断を受けた大阪市内の病院で、余命は「来年(12年)9月まで」と告げられた。

     土庫病院は山西院長らが3日午後、取材に応じた。「担当医師の単純な勘違いだった。検査結果を二重三重にチェックするシステムが不十分だった」と釈明。10年9月時点で適切に治療を受けていたらどうだったかについては、「診断結果の説明が(石田さんに)できず、精密検査などができなかったので、当時の(がんの)進行度は推定でしか分からない。現在、専門家の意見を聞いている」と明言を避けた。ただ、山西院長は「(治療が)遅れたことでがんの進行を許したのは否定できない事実。本当に申し訳ない」と話した。

     家族によると、石田さんは先月末に体調を崩し、土庫病院へ入院。今月3日朝、突然息苦しさを訴え、午前9時過ぎに亡くなった。

     ◇同意なく賠償打ち切り

     「俺が死んだ後、家族が困らないようにしてほしい」。石田さんは生前、毎日新聞の取材に、病院に対する怒りを語っていた。

     「お父さん、やせたな」。先月28日、石田さん宅。中学3年生の次女裕美さん(15)が言った。石田さんの背中などが痛むと、さするのが日課。妻久美子さん(53)も、夫の背中に手を当てる。そんな時、石田さんは「ぬくい」と言って頬を少し緩ませた。

     約20年前に会社を設立。燃料費に事欠く時期もあったが、自分の給料を抑えるなどして社員数人を雇い、家族を養った。3人の子宝に恵まれ、2人は既に成人した。

     告知ミスが判明した時、裕美さんの顔が脳裏に浮かんだ。「まだ死なれん。どうにかして」。余命は1年以内と言われた。家族で全国の病院を調べ、治療法を探した。行き当たったのは保険適用外の遺伝子治療など。東京の介護付き老人ホームに滞在して治療を受け、終わったら奈良の自宅へ戻る生活を続けた。

     末期がんと判明した後、裕美さんの将来の夢は「大きな病気を治す薬を開発する研究者」になった。亡くなる3週間ほど前、東京で治療を受けながら取材に応じた石田さんは、一生懸命勉強する娘の姿を思い、「(裕美さんが社会人になるまで)父として見届けたい」と語ったが、願いはかなわなかった。

     同じようなミスを二度と繰り返してほしくないと訴えていた石田さん。固く閉じた目から涙がこぼれ落ちた。「死ぬのが怖いからじゃない。悔しくて。納得なんかできないが、せめて家族が受け入れられる誠意を見せてほしい」。切実な言葉を残し、帰らぬ人となった。

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