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>>775つづき
■4.「国際社会が菅政権に対する不信感を強めている」
首相官邸が機能不全に陥っているなかで、自衛隊、消防、警察が協力して、原発への決死の放水作業を試みていた。
その作業が難航していた3月17日、陸上自衛隊の大型輸送ヘリ2機による上空からの海水投下が計4回に渡って決行された。
この作業は、テレビでも中継され、多くの国民が固唾を呑んで見守った。
ヘリからの海水投下は、見た目の派手さとは裏腹に、危険な割には効果が薄いと見られていた。
それでも菅があえて北澤防衛相に実施を指示したのは、この日予定されていたオバマ米大統領との電話会議の前に、日本もやるべきことをやっているという実績を示したいとの思惑があったからだと指摘された。
投下実施後の記者会見で北澤が防衛相が「きょうが限度であると判断をした」と語ったのは、菅の「政治ショー」のために、自衛隊員の生命を危険に晒すのはこれで終わりにしたい、という意思表示ではなかったか。
その後、北澤防衛相は二度とこの作戦を指示しなかった。
米国は大震災発生の直後から「トモダチ作戦」を発動して、最大時1万8千人もの兵力を動員して被災地救援に協力してくれたが、日本側の対応はあまりにも遅く、拙かった。
米国のジョン・ルース駐日大使が最新の情報を求めて官邸に頻繁に電話しても、菅も枝野もなかなか掴まらなかった。
米側から不満をぶつけられた長島明久・元防衛政務官は菅に「米側には、本当にフラストレーションがたまっています。このままでは、日米同盟は深化どころか、崩壊してしまいます」と進言した。
菅はこれを受けて、原発事故対応に関する日米の調整会議の設置を了承したが、スタートしたのは22日で、大震災から10日以上経っていた。
こうした日米のすれ違いは、「国際社会が菅政権に対する不信感を強めている」という見方を広めていった。
つづく- 0
16/03/16 09:09:43