【解説】新型コロナウイルス、なぜ治った後にまた陽性になったのか?

  • なんでも
  • 康元
  • 20/03/13 17:41:44

なぜ治癒後に新型コロナウイルスが再度陽性になったのか?

https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20200227-00164957/

・忽那賢志(感染症専門医)

2月26日に大阪府は新型コロナウイルスに感染し退院していたツアーガイドの女性について、再び新型コロナウイルスの陽性反応が出たと発表しました。

一般的に、感染症は一度感染すると免疫ができますので同じ感染症には感染することはありません。

例えば、麻しん(はしか)に感染した人は、生涯に渡って麻しんになることは稀であり、あったとしても軽症になります。

今回、新型コロナウイルス感染症の患者さんが回復後に再度ウイルスが検出されたというのはどういった原因が考えられるのでしょうか?

◆仮説1:退院時に採取した検体が偽陰性だった

私も新型コロナウイルス感染症の患者さんを10例以上診療していますが、患者さんの一部では回復してすっかりお元気になった後でもPCR検査で新型コロナウイルスが検出されることがあります。

すでに咳や痰などの症状は改善しており、他の人に感染する可能性はかなり低いと考えられますが、新型コロナウイルスは性質として症状が良くなった後もしばらくの間はウイルスがノドや肺などで残留することが分かっています。

退院基準としてノドを拭ってPCR検査が行われることが多いですが(症状が改善し痰が出ないため)、痰に比べてノドはウイルス量が少ないので、ウイルスがいたとしてもPCR検査では検出できないくらいのウイルス量では「陰性」と判定されることがあります。

これを偽陰性(本当はウイルスがいるのに検査で陰性と出た)と呼びます。

今回の事例は退院時には陰性であったとしても、体内にはまだウイルスが残っており、今回別の感染症などによって風邪症状が出て、新型コロナウイルスの検査をしてみたら陽性になった、ということかもしれません。

◆仮説2:一度罹っても再度ぶり返すこと(再燃)がある

比較的稀な現象ですが、例えばエボラ出血熱では一度良くなった患者さんが再び症状がぶり返した事例が報告されています(Lancet. 2016 Jul 30;388(10043):498-503.)。

これは再感染(また別のヒトからウイルスに感染すること)とは異なり、再燃(自分の中に残っていたウイルスが再び増殖する)と呼びます。

新型コロナウイルス感染症に対するヒトの免疫反応についてはまだ分かっていない部分が多いですが、エボラ出血熱のように一部の症例では回復後に再び症状が出現する再燃の可能性があるのかもしれません。

ただし、仮にそうであったとしてもこうした事例は稀と考えられますので、新型コロナウイルス感染症に罹った後に回復した患者さんは、通常の手洗い・咳エチケットを行っていれば他のヒトにうつすことを心配する必要はないでしょう。

新型コロナウイルスに罹った患者さんへの不当な偏見は厳に慎みましょう。

◆仮説3:一度良くなったが再感染した

感染症の種類によっては、一度罹ってももう一度感染することがあります。

例えば、梅毒という感染症は一度罹っても何度も感染します。

仮説としては今回の患者さんは新型コロナウイルスに一度感染した後に、また別の機会としてヒトから新型コロナウイルスに感染した可能性がなくはないかもしれません。

しかし、現時点で報告されている国内での患者さんの数を考えれば、この可能性はほぼ無視してよいほど低いと考えてよいでしょう。

>>1に続く

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    • 20/03/13 17:41:55

    ◆退院した後も特別な感染対策は必要ありませんが、以下の点に注意しましょう

    現在、新型コロナウイルス感染症と診断されて退院した患者さんは2回のPCR検査で陰性と確認されています。

    1人の患者さんから再度新型コロナウイルスが検出されたからと言えども、ほとんどの患者さんは治癒していると考えてよいと考えます。

    退院後は特別な感染対策は必要ありませんが、今回の事例を鑑みて、退院後4週間程度は以下のことに注意しましょう。

    ○一般的な衛生対策を徹底しましょう。

    ・石けんやアルコール消毒液を用いて手洗いをしてください。

    ・咳エチケット(マスクやティッシュ・ハンカチ、袖、肘の内側などを使って口や鼻をおさえる、マスクの着用等)を守ってください。

    ○健康状態を毎日チェックしましょう。

    ・不要不急の外出を控えるとともに、外出時にはマスクを着用しましょう。

    ・毎日、発熱や咳などの症状の有無を確認しましょう。

    ・発熱や咳などの症状があればすぐに医療機関を受診しましょう。

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    忽那賢志
    感染症専門医。2004年に山口大学医学部を卒業し、2012年より国立国際医療研究センター 国際感染症センターに勤務。感染症全般を専門とするが、特に新興再興感染症、輸入感染症の診療に従事し、水際対策の最前線で診療にあたっている

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