• No.1 グリッター

    25/12/11 12:26:49

    こうした値上げの背景には、牛肉価格や人件費の高騰、供給問題や関税の影響など、多方面のコスト増がある。英紙「インディペンデント」によれば、同期間にマクドナルド社の従業員給与は約40%、食材費は約35%上昇した。

    また牛肉の在庫は過去75年で最も少なく、干ばつや寄生虫被害に加え、トランプ政権時代の貿易戦争や関税の影響も残っている。その結果、たとえばスーパーの挽き肉価格は2024年と比べて13%上昇している。

    マクドナルドはサプライチェーンの強みを強調するが、それでもコスト増を完全には吸収できていない。

    モノへの支出割合が高い低所得層にとって、こうした価格上昇の影響は大きい。「多くの経済的・政策的逆風は低所得層に偏って影響している。マクドナルドの低所得層離れはその反映だ」と、米国の金融情報・リスク分析会社「ムーディーズ・アナリティクス」のマリサ・ディナタールはロサンゼルス・タイムズに語っている。

    価格に敏感な消費者は「すでに何年も値上げに耐えてきたため、これ以上の値上げへの許容度は非常に低い」とも述べている。

    そんななか、過去のような「安さによる集客」が難しくなったマクドナルドは、期間限定の低価格メニューの復活で顧客の呼び戻しを試みている。

    2024年には、マックダブル(またはマックチキン)、ポテト(S)、ナゲット(4ピース)、ドリンクの4点セットを5ドル(約750円)で提供し、また2025年は「マックバリュー」として、1品購入するともう1品が追加1ドル(約150円)で購入できる施策も導入した。これらの取り組みにより、同年第3四半期の米国内既存店売上高は前年同期比2.4%へと回復したが、同紙は値下げ策の効果は限定的だとみている。

    低所得層の利用減は、ファストフード業界にとどまらず、ホテルや航空など多くの産業で見られる「K字型経済」(富裕層と低所得層の消費行動の二極化)の典型例だと経済学者らは指摘する。

    消費者の購買力格差が広がるなか、ファストフード業界は低価格メニューで低所得層をつなぎ止めようと模索しているが、彼らの生活費圧迫が続く限り、根本的な回復は難しいようだ。

    COURRiER Japon

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