- なんでも
- 借り物競走
- 24/05/04 17:24:00
GWに実家に帰郷した人も多いだろう。久々に会う親に「なんだか歳を取ったな」と感じたり、「そろそろ介護のことも考えないといけないのかも」と現実を直視した人もいるかもしれない。
「1年半前の秋、80歳の母から『歩けないの、痛くて一人じゃ生活できない』と涙声で電話がかかってきました。物事をかなり大きく言うタイプの母なので、また大げさに言って……と思いながら、翌日慌実家に帰ると、玄関前の廊下にペタンと座っている母がいて青ざめました」
「厄介な問題は想像していたものと違っていた。一番心が削られたのは、『介護のきょうだい格差』でした」と佐々木さんは話す。『介護のきょうだい格差』とは一体どういうことなのか。佐々木さんは自らに起きた問題は自分以外にも起きているのか、今介護中の同世代にもリサーチを重ねたという。今回は、佐々木さん自身の体験を前後編で寄稿していただいた。
母は、左足を動かすだけで激痛としびれや嫌みがあって、起きても寝ていても痛いと訴えた。時間をかければトイレに行くことはできるが、痛みがひどいときには間に合わず、お漏らしをしてしまったこともあったと泣いた。
「美和だけが頼りなのよ、私をひとりにしないでよ……」と泣きながら、私の腕を掴む母に、大丈夫というよりも正直「ドキッ」とした。なぜなら、私と母は子どもの頃から折り合いが悪かったからだ。4つ上の東大卒の兄とは、小学生の頃から常に比較され、成績が伸び悩む私に「自分の家系は頭がいいはずなのに」「なんでこんな子ができちゃったのかしら」と母は口癖のように言い続けた。結婚するときも相手の学歴が気に入らないとひどく反対され、結婚後しばらくの間まったく連絡を取らない時期もあった。その後、私は離婚をしたが、そのときの母の誇らしい顔は今も覚えている。「私の言うことを聞かないから」と笑ったのだ。母は「口に毒がある人」で、そのたびに心が傷ついてしまう。そんなこともあって「必要以上近寄らない・接しない」でバランスを保っていたのだ。
私? あり得ない! すぐに地方都市で暮らす兄にLINEをした。
「ママが歩けなくなってしまい、これからのことを相談したいです」
しかし、兄からは「今、北海道に出張中なので、3日後には自宅に戻るので連絡します」となんともノンキな返信がきたのだ。
- 0 いいね