- なんでも
- せり鍋
- 24/03/06 16:26:35
飼い主さんに毎日どんなエサを与えていたのか尋ねてみると、案の定「猟犬で丈夫なイヌだし、いつも生肉をあげていた」 「イヌやネコは肉食動物だから、いろいろ混ぜたエサより肉を食べさせる方がいいだろう」 「加工されたペットフードより、自然のままの生肉を食べる方がイヌやネコも幸せだろう」 しかし、肉食動物といっても、実際のところは肉だけを食べて生きているわけではありません。
かわいそうに、この子はおそらく最期まで全身の骨や関節の痛みで相当に苦しんだことでしょう。解剖台の上の遺体の曲がった骨や腫れた関節を見るにつけて、やり切れない思いがこみ上げました。
「生肉ばかりを食べていたことが、この子がくる病になった原因だと考えられます。また、発症しても早めに動物病院に行って治療を行っていれば、亡くなることはなかったかもしれません」
そう伝えると、飼い主さんは、
「まだ小さいのに骨が曲がって死んだから、てっきり生まれつき病気のイヌを売りつけられたのだとばかり……」と反省しきりでした。
これらは、たとえ虐待の意思がなかったとしても、飼い主さんの無知や不注意、怠慢などによって引き起こされ得るものです。この子の場合も、飼い主さんの無知による虐待といえなくもないでしょう。
病理解剖をしていると、このような「意図せぬ虐待」にしばしば遭遇し、そのたびに胸が痛みます。
別のケースでは、飲食店を経営されていた飼い主さんが「店で余ったラーメンや残飯をイヌに毎日与えていた」ということもありました。このイヌも偏った栄養からくる病を発症して亡くなっていました。
愛情だけでは動物は飼えません。獣医療の従事者だけでなく、飼い主も常に学び続けなければなりません。
飼育の手引きなどの普及で飼い主の知識も増えてきたとはいえ、現状では、まだまだ人の無知や身勝手によってたくさんの命が失われています。
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