連続テレビ小説【らんまん】ネタバレ書き込み禁止専用

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      23/08/22 12:10:49

    らんまんのモデルに関する記事です。 
    ネタバレ禁止には抵触していませんのでご安心下さい。
    イベントや出版情報等を共有し、楽しくらんまんを盛り立てていきましょう。

    朝ドラ「らんまん」モデル・牧野富太郎と矢田部博士(田邊教授)の確執の終わり
    矢田部博士の罷免
    学術文庫&選書メチエ編集部


    「日本の植物学の父」と呼ばれる牧野富太郎。朝ドラ『らんまん』では、神木隆之介さんが富太郎を、田邊教授を要潤さんが演じている。二人のあいだに生まれた確執は、最終的にどうなったのか。前回に引き続き、実際に富太郎が語った文章から引用しよう(講談社学術文庫『牧野富太郎自叙伝』に一部改行を加えた)。

    大学で研究できなくても
    こんな訳で、私は独立して研究を進めるにしても、顕微鏡などの用意はないし、参考書は不自由だし、全く困ってしまった。そこで止むなく農科大学の教室へ行って、図などをそこで描かせてもらっていた。日本ではじめて私の発見した食虫珍草ムジナモの写生図はそこで描いたものである。

    しかし、考えてみると、大学の矢田部教授と対抗して、大いに踏ん張って行くということは、いわば横綱と褌担ぎとの取組とりくみみたようなもので、私にとっては名誉といわねばならぬ。

    先方は帝国大学教授理学博士矢田部良吉という歴とした人物であるが、私は無官の一書生に過ぎない。海南土佐の一男子として大いにわが意気を見すべしと、そこでは私は大いに奮発して、ドシドシこの出版をつづける事にし、今迄隔月位に出していたのを毎月出すことにした。

    植物には世界に通用する学名サイエンチフィック・ネームというものがあるが、その時分にはまだ日本では新種の植物に新たにこの学名をつける日本の学者は殆どなかった。そこで第七冊からは私は新たにこの学名をつけはじめ、欧文で解説を加え、面目を新たにして出すことになった。その時、親友の池野成一郎博士はいろいろ親切に私の面倒を見てくれた。

    同情してくれる人たち
    その時、今は故人となられた杉浦重剛先生に御目にかかってこの矢田部氏の一件を話すと、先生も非常に同情して下すって、

    「それは矢田部君が悪い。そんな事をするなら、一つ『日本新聞』にでも書いて、懲らしてやるがよい」

    「日本新聞」といえば、当時なかなか勢力のあったもので、それに先生の知人がいるということであった。それからやはり先生が関係しておられたのであろう「亜細亜」という雑誌で、矢田部の著書より私の方が日本の植物志として先鞭をつけたものであるというような事が載った。これも杉浦先生の御指図であったそうである。

    またある時、矢田部氏の同僚である菊池大麓博士にこの事を話したところ、

    「それは矢田部が怪けしからぬことだ」

    と、私に大変同情して下すったこともある。こうした苦難の間にも、私はとにかく矢田部氏に対抗しつつ、出版を続けて十一冊まで出した。ところが、この頃になって、郷里の家の財産が少しく怪しくなって来た。

    私はこれまでの生活費だとか、書籍費だとか、植物採集の旅行費だとか、また出版費だとか、すべて郷里からドシドシ取寄せては費っていたので、無論そういつまでも続く筈はなかったのである。それで郷里からは一度帰って整理をしてくれといって来るので、やむなく私は二十四年の暮に郷里へ帰った。

    整理をすませたら、また出て来て今度は大いに矢田部氏に対抗してやる考えであった。ところが、私が郷里へ帰ったあとで、矢田部氏は急に大学を罷職になってしまった。もとより私との喧嘩が原因したわけでなく、他に大いなる原因があったのであるが、とにかく当面の敵が大学を退いてみると、また多少の感慨がないこともなかった。これでまず第一の受難は終ったわけだ。

    出典:現代メディア

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