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FCCJでの会見の様子は、共同がすぐに打った。あれで他のメディアも報じざるを得なくなった。健全かどうかは別にして『他はやってるのにまずい』という効果はやっぱりあったんじゃないですかね。記者会見を開いたカウアンさんの勇気は素晴らしいなと思いました」(同)
●100人、200人という被害者予想は「結構リアルな数字」
そのカウアンさんをはじめ、5人の元ジュニアに取材を行ってきた松村優子記者は「最終的にはジャニーズ事務所がちゃんと調査をして、性加害があったことを認めて、元ジュニアたちに謝罪をしてほしいと思っています」と語る。
「『性加害が一切なかった』という結果にはならないと思います。事務所に近い関係者に当たっていても、被害に遭った方は相当数いることが分かっています。カウアンさんが会見で言っていた『100人、200人』という数は、結構リアルな数字だと思います」(松村記者)
とはいえ、元ジュニアに取材に応じてもらうことは容易ではなかった。これには様々な事情がある。
「皆さんやっぱり『ジャニーズ事務所が怖い』とか、そういう理由で取材を受けてくれる方が本当にいなくって。毎週1人ずつは記事に出てもらえてるような状態なのですが……。『実は僕やられてますけど喋れません』という人たちもいるんです。
喋れない理由としては『もう関わりたくない』とか『思い出したくない』という方が多いです。あとデビューしている子たちが全員被害を受けていると思われるんじゃないかとか、先輩たちにお世話になったから申し訳ないっていうところもあると思います。ジャニーさんにされたことは腹は立つけれど、自分が喋ることによって迷惑かけちゃう、というジレンマがあるようです」(同)
子どもたちが証言しづらい理由の一つが親への配慮だ。
「親に言ってない人がすごく多いんです。そのため、顔出しで証言できないんですね。カウアンさんは、事前に親に言えてたから、今回も顔を出せたのだと思います。親としては、自分が預けた子供が被害に遭っていたことを知ることはショックですし、彼らもそれを心配するようです」(同)
それでも現時点で5人が告発を行っており、今後も取材を続ける方針だ。
「2000年以降、現場はジャニーさんの住んでいた渋谷のマンションに変わりましたが、そこで『襲われる部屋』は主に2部屋だと決まっていました。ジャニーさんが夜にやってきて、肩を揉んで『ユー寝なよ』って言ったら、もう周りも、今日は彼なのか、と察する。
彼らは『やっぱり夜になると怖かった』って言いますね。狙われないベッドをみんなで取り合っていたとか、集団でお風呂入るとか、ベルトを三重に巻いて寝るとかいうことをしていたそうです。『鬼ごっこみたいだった』と言う子もいました」
カウアンさんの会見により声を上げやすくなったという雰囲気も実感している松村記者は「現時点での8人の被害者の告発で終わるにしろ、さらにたくさんの方が声をあげるにしろ、事実としてあったということは変わらない。me too運動のように大きな現象となり、ジャニーズ事務所に対して謝罪なり、補償なりを求めることを考えるというふうにスイッチしてもいいんじゃないかと思います」と期待を込めながら取材を続けている。
●ジャニーズ事務所の責任は?
加藤編集長はジャニーさんの責任について「亡くなっているからと言って免責されるものではない」と指摘する。
「少年への性加害について認めて謝罪していたり、何らかのペナルティを受けていたんだったら、『死者に鞭打つな』という声は理解できますが、ジャニーさんはそれについてペナルティを受けることなくアイドルビジネスを続け、巨万の富を得て、その後も性加害を続けて亡くなったわけで、それについてはきっちり報道する必要はあると思っています」
さらには事務所の責任も重いと語る。
「ジャニーズ事務所という芸能事務所は、男性アイドルを世に出していくというビジネスモデルで巨額の利益をあげている。彼らのデビューと性加害とが極めて密接に結びついている以上、性加害はいわゆる個人犯罪ではないと考えています。それにも関わらず、元所属タレントからの告発について説明しない、できないのは、これだけ大きな社会的影響力を持つ企業としては率直に言って失格だと思います。また、一人の大人として恥ずかしいことだとも思う。
当然ながら、なぜこういう性加害が繰り返されたのかと検証をして公表する社会的義務はあると思いますし、その結果によっては、長年、経営にかかわっていた藤島ジュリー景子社長、ジャニーズ事務所の役員達の責任も問われなければならないでしょう」
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23/04/15 13:25:52