• No.1 明石公園

    23/03/08 14:33:26

     「何でこんなことになったんだろう」。2022年9月9日。送迎バスへの置き去りで長女の河本千奈ちゃん=当時(3)=を亡くした父は、牧之原市内の火葬場でぼうぜんと立ち尽くしていた。まな娘を荼毘(だび)に付す炎は無慈悲に燃えさかり、ごう音を響かせていた。

     3日前の6日午後10時ごろ。警察の司法解剖が終わり、千奈ちゃんの遺体が自宅に戻った。父はバスを運転していた当時の園長ら認定こども園「川崎幼稚園」の関係者9人を自宅に呼び寄せた。

     「亡くなった千奈の顔を見て、思うことを書いてください。書きたくないなら何も書かず帰ってくれても構わない」

     A5サイズのノートを渡した。

     <廃園を願います。園を辞めさせていただきます>

     <廃園に致します>

     職員から園長まで全員がペンを走らせた。

     翌7日に同園で初めて開かれた保護者説明会。園側が事件の経緯を説明し、質疑応答に入った。参加者の質問は事件の詳細から、徐々に今後の方針を問う内容へと変わった。園側の回答に「廃園」の2文字はない。

     だまされたような気持ちになった。

     「すみません。廃園にしないんですか?」

     父は会場の一番後ろから手を挙げたまま発言した。周囲がざわめく。意を決して前に出た。前夜、園長らが自宅でノートに書いた内容を伝えた。閉じ込められたバスの中で、幼い娘がたった一人、水筒を飲み干し、服を脱いでまで生きようとしたことも涙ながらに明かした。

     話の最中、最前列の保護者が悲鳴を上げて倒れた。その後も体調不良者が相次ぎ、説明会は中止になった。

     「会を壊してしまい申し訳ありません」

     父は頭を下げ、あらためて訴えた。

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