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日本では水道水の殺菌のために塩素が使われています。安心して水道水を使うことができるのは、塩素があるからこそ。水道法では蛇口において0.1mg/L以上の塩素濃度が保たれるよう定められています。しかし塩素は鼻にツンとくるようなカルキ臭を生じさせ、味を損ねてしまうことがあります。
また、塩素は有機物と反応してトリハロメタンを生成することでも知られています。発がん性が疑われるトリハロメタンは、なるべく体に取り込みたくないという方も多いでしょう。
煮沸はこのような不純物をできるかぎり少なくするために行われるものです。
ただしこれらの物質については、健康に影響がないよう厳格に目標値や基準値が設けられています。(水道法第4条の規定に基づく「水質基準に関する省令」)
水質管理目標設定項目 残留塩素 1mg/L以下
水質基準項目 総トリハロメタン 0.1mg/L以下
引用:「水質基準項目と基準値(51項目)」厚生労働省
日本の水道水はそのまま飲んでも健康上問題はありません。ですから、必ずしも煮沸が必要ということではないのです。
とはいえ、なるべく不純物を減らし、よりおいしい水を楽しみたいという方も多いでしょう。そのことから、煮沸して使用する方もいらっしゃるようです。
水道水を煮沸するメリットは?
せっかく手間をかけるのですから、煮沸にどんな効果があるのかを正しく知っておくことが大切です。ここからは煮沸のメリットを解説します。
残留塩素やトリハロメタンを減らせる
先ほど述べた「残留塩素」と「トリハロメタン」の2つは、水道水に含まれる物質の中でも多くの方が気にされているものだと思います。
一昔前は「都会の水はカルキ臭がきつくて飲めない」という声がよく聞かれました。原水に含まれる微生物が多いと、用いられる塩素の量も多くなってしまい、においがきつくなることがあったのです。現代では浄水処理技術が向上したため、塩素の濃度はかなり抑えられています。それでも時期や地域によってはカルキ臭を感じることがあるかもしれません。
沸騰させることで残留塩素は揮散するので、カルキ臭を気にせず使えるようになります。飲み水としてはもちろん、お茶やコーヒーを淹れたり、料理を作ったりするときにもおいしく楽しめるようになるのです。
同時に、塩素消毒の副生物であるトリハロメタンも沸騰によって揮散することが知られています。こちらは実際に体への影響が懸念されるものですから、煮沸によって取り除きたいという方も多いでしょう。
大切な赤ちゃんにも安心
水道水はそのまま飲んでも問題ないと述べましたが、大切な赤ちゃんには、より清浄性や安全性の高い水を与えたいというお父さんお母さんも多いでしょう。赤ちゃんは大人に比べてデリケートですから、たとえわずかであっても不純物を体に取りこませたくありませんよね。
しっかりと沸騰させることで、カルキ抜きに加えて、殺菌効果も期待できます。現代では細菌汚染の心配はほとんどありませんが、1歳くらいまでの赤ちゃんの飲み水には、念のため加熱殺菌をおこなったものを与えるのが一般的です。
ミルクを作るときにも一度沸騰させたお湯を使うことが勧められています。WHOによる『乳児用調製粉乳の安全な調乳、保存及び取扱いに関するガイドライン』の中でも、ミルク作りには完全に沸騰させた水を適温にしてから使うように記載されています。
煮沸をするうえでの注意点
煮沸のメリットだけではなく注意点も頭に入れておくことが大切です。ここでは、煮沸をするうえで知っておきたいポイントを解説します。
10分ほどしっかりと沸騰させることが必要
水道水を煮沸するときに気を付けたいのが時間です。
お湯が沸いてすぐに火を止めてしまってはほとんど効果がありません。細菌類の中には1分ほど加熱すれば死滅するものも多いですが、塩素やトリハロメタンは短時間では除去することができないのです。
残留塩素を除くためには、少なくとも5分以上しっかりと沸かし続けたほうがよいと言われています。お湯がぐらぐらとしてきたら塩素が蒸発しやすいように蓋を開け、しばらく火にかけておきましょう。
一方のトリハロメタンは、沸騰直後ではかえって量が増えてしまうと言われています。トリハロメタンを除去するためには10分ほど沸かし続けなければなりません。
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22/07/07 01:26:59