- なんでも
- ねこりん
- 22/06/11 10:21:45
あるニワトリ小屋で、飼育員が毎日、
エサを決まった時間に同じ量だけを与えていた。
飼育員は、非常に几帳面な性格だったらしく、
何年間も正確に同じことをしていた。
さて、小屋の中のニワトリたちは、
なぜ毎日、同じ時間に同じ量のエサが放り込まれるのか、
その原理や仕組みをまったく想像しようもなかった。
が、とにかく、毎日決まった時間に、同じことがおきるのだ。
いつしか、ニワトリたちは、
それが「確実に起きること」だと認識し、
物理法則として理論化しはじめた。
そして、その確実な理論から、
関連する法則を次々と導き出していき、
重さや時間の単位も、
エサの分配についての経済や政治の理論もすべて、
毎日放り込まれるエサを基準にして行われた。
それは妥当なモノの考え方だ。
だって、それは
「確実に起きること」であり、
「絶対的な物理法則」なのだから。
しかし、ある日、"ひねくれ者"と言われていた一羽のニワトリがこう言った。
「でもさあ、そんなの、明日も同じことが起きるとは限らないんじゃないの?」
そんなことを言うニワトリは当然、他のニワトリたちから袋叩きにあう。
「ばぁーか、お前なに言ってんだよ。
いいか?この現象はなあ、
この世界ができてから、ずーっと続いているんだよ。
何十代も前のじいさんが書いた歴史書を読んでみろよ。
それからな、この現象をもとにして書かれた理論や、
学術論文をちゃんと読んでみろよ。
みんな、矛盾なく成り立っているだろ?
そしてそれは、観測や実験によって間違いなく確かめられているんだよ!
それをお前は何の根拠もなく疑うなんてな。
そういう無知から、擬似科学やオカルトが始まるんだ。
現実から目を背けることばかり考えてないで、
ちゃんと勉強した方がいいぞ。」
しかし、ある日、
不況の煽りをうけ長年働いた飼育員がリストラとなり、
ニワトリへのエサやりは、ズボラなアルバイトの役目となった。
次の日、ニワトリたちが、何十代もかけて構築した科学のすべては吹っ飛んだ。
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