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- 22/03/10 07:33:54
「ワクチン打たず感染」43歳彼女の周囲で起きた事
2022/03/02 5:00
■血色素量の異常を理由にワクチンは打てなかった
亀山鶴子さん(仮名・43歳)はコロナワクチンを1回も打っていない。
鶴子さんは近年、ある病気をきっかけに重度の貧血となったことがあった。血中の鉄が関係するヘモグロビンの数値「血色素量」では、健康な女性が「11.3~15.2」のところ、彼女はその範囲に収まらない値だった。病院で処方される鉄剤や注射の治療も体質的に合わず、拒否反応。自然治癒に任せるしか方法がなかった。
「身体が弱っている中で、コロナワクチンの副作用がこわいと思った。ワクチンに負ける気しかしない、と感じたんです」
そんな彼女が今回、コロナのオミクロン株に感染した。(略)
1月中旬のある日、鶴子さんは急に喉が痛くなり、咳が出始めて「おかしいな」と感じる。思い当たる感染経路は主に3つ。満員電車での通勤、職場での同僚やお客さんとの接触、そして同居する親族との接触だ。自身として疑うのは親族との接触だが、明確にどれが原因かはわからない。
2日後に病院で抗原検査を受けると、「陽性」と診断された。PCR検査も受けたが、医師からは「もう十中八九はコロナ陽性だろう」と言われ、次の日の結果が出る前にコロナの認定をされた。(略)
すぐに熱は下がり、症状もそこまでつらくはなかった。実際は、感染中よりも、感染から1カ月ほどたった取材時点(2月23日)のほうが彼女を大きく悩ませていた。
「やる気が出ないんです。つねに頭に霧がかかったようにボーッとするというか。人から言われたことも忘れやすくなった気がします。あ、元からだと言われれば……そうなのかもしれないですけど(笑)。でも、他人から見たら『ただの怠慢』に見えるような、実際にはやっかいな後遺症だと感じています」(略)
「今回のコロナ感染で大変だったことと言えば、職場の人間関係です。私がワクチン未接種のことも、オミクロン感染のことも、同僚には全部知られているので。『ほれ、見たことか』というような厳しい視線と意見がありました。迷惑をかけてしまったので何も言えませんが……」
少人数で長く勤めている人も多い環境、コロナ前まではスタッフ同士、アットホームな感じでうまくいっていた。ここでトラブルが生じたのだ。
ワクチンを打っていないことが職場のある人に知られ、避けられるようになったり、そのことを言いふらされたり、陰口を叩かれたりした。
そこに今回のオミクロン感染によって、仕事を十数日間休まざるをえなくなった。その穴は周囲がカバー。同僚たちは感染の有無を調べるため検査を受けざるをえなくなったうえに、一時休業も強いられた。
ワクチンを打っていないことをよく思わない同僚は、鶴子さんへの陰口に拍車をかけた。直接言ってこないが周囲から耳にする。
■いちばんつらかったのは「人の排他性」を感じたこと
鶴子さんに、「オミクロン感染でいちばんつらかったことは何か」と聞くと、「職場の人間関係が変わってしまったこと」だという。
「コロナワクチンを接種したかどうかの問題がまずあり、打っていない人がオミクロン感染をしてしまったときの、人の排他性をすごく感じました。コロナを怖がり、自己防衛でとる態度や行動は仕方ないのですが、そこに傷つけられる人がいることも事実です。
職場だけでなく趣味の活動でも周囲に迷惑をかけてしまいました。『コロナ』という言葉がなければ、症状的には風邪とあまり変わらなかったかもしれませんが、他人を感染させてしまえば、同じように今度は周りの人に自粛に伴う心労をかけてしまう。ここも大きいと思います」
オミクロン株は多くの人が感染しているものの、昨夏の流行の中心となったデルタ株に比べると、比較的症状が軽く済んだ人が多いという話を聞く。
ただ、今回の鶴子さんのように、ワクチン接種の有無や、その感染によって、周りの人との人間関係にひびが入ったり、考え方の相違が浮き彫りになったりするケースがあるのは、コロナという病気ならではの事象といえる。人によっては感染時の体調不良や後遺症と同じぐらい厄介なことだ。(略)
日本中に生んでいる「相互不信」も、コロナが人間に与えている深刻な病状の1つである。
https://toyokeizai.net/articles/-/535155
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