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- 21/10/16 03:02:09
北海道には本州ではあまり知られていない致死的な寄生虫感染症である「エキノコックス症」があります。日本では北海道だけのものと思われていました。
ところが、近年、愛知県知多半島で継続的に見つかっており、8月の末からTwitterで話題になっています。
詳しい理由はわかっていませんが、エキノコックス陽性だった野犬の捕獲地域は、全て知多半島です。愛知県全域ではありません。
北海道ではエキノコックスはキツネや犬など寄生していますが、それでお隣の青森でエキノコックスが発見されたのではなく、遠く離れた愛知県で捕獲された野犬において、犬のエキノコックス症が確認されました。なぜ、愛知県の知多半島なのかわかっていません。研究がすすむと理由がわかるかもしれません。
忍びよるエキノコックス症の恐怖とは?
人がエキノコックスに感染すると、治療しないと死にいたることがあり、早めの受診が必要です。しかし、この病気の怖いところは潜伏期がおよそ5~20年と非常に長いことなのです。たとえば、エキノコックスが入った沢の水を飲んでも5年もしないと症状が出ないのです。気がついたときには、死にいたる病になっていることなのです。それでは、詳しくエキノコックス症を見ていきましょう。
(人)
病原体
この病気は動物由来感染症の寄生虫疾患で、エキノコックス(Echinococcus)による感染症です。病原体のエキノコックスは、単包条虫(Echinococcus granulosus)と多包条虫(Echinococcus multilocularis)の2種類があります。
感染経路
経口感染です。以下のようにして体に入ります。
キツネやイヌなどから排泄された虫卵に汚染された沢の水や井戸水を飲む
山菜などを生で食べる
キツネや野犬などを触る
エキノコックス感染した犬の糞便処理のとき
臨床症状
日本でのエキノコックス症感染報告のほとんどは多包条虫によるものですので、ここでは多包条虫によるエキノコックス症をご紹介します。人が多包条虫に感染しますと、多包条虫の包虫が肝臓で増殖します。
愛知県衛生研究所の生物学部医動物研究室によりますと、以下の通りの症状です。
第1期(潜伏期):およそ5~20年無症状
第2期(進行期):肝腫大、腹痛、黄疸、肝機能障害、腹水貯留など
第3期(末期) :全身状態が強く侵され、肝不全などで死にいたる
治療法
外科手術が一般的です。
(犬)
症状
犬ほとんどの場合、感染していても症状が現れないいわゆる「不顕性感染」です。
犬は元気でもエキノコックスに感染した犬の糞便にはたくさんのエキノコックスの虫卵を排泄します。
まれにではありますが、糞便中に虫体(片節)が見つかる場合があります。犬の糞便中に、白色で長さ1~4mmの虫体や1mm以下で楕円形のものを見つけた場合は、エキノコックスの可能性があるので、動物病院で糞便検査をしてもらいましょう。
感染経路
経口感染です。
エキノコックスに感染した野ネズミを食べたり、口にくわえたりすることで虫卵が体内に入り感染します。
治療法
成虫に対しては、駆虫薬であるプラジクアンテルを投与しますと、ほぼ100%の効果があります。
コロナ禍でキャンプなどが流行っています。自然の水は綺麗に見えるのでそのまま飲んでしまう可能性があります。
エキノコックスの虫卵は、肉眼では見ることができないほど小さなものなので、エキノコックスの感染地域では川や井戸水に虫卵が含まれている可能性があります。しっかり煮沸してくださいね。
犬を山に連れて行く人、エキノコックスの感染地域の人は、犬に野ネズミを食べさせない、接触させない
心配な場合は、定期的にエキノコックスの駆除薬を飲ませてください。
猫を外に出さない
猫は、犬ほどにエキノコックスに感染することはありませんが、猫の報告もされています。
全文はこちら
https://news.yahoo.co.jp/byline/ishiimasumi/20210903-00256093
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