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「コロナ患者の母親を搬送したら子の面倒を誰が見るのか調整」救急車が現場で2時間42分待つ
2021年8月30日 07:45沖縄タイムス沖縄タイムス社
沖縄県内で新型コロナウイルス「デルタ株」がまん延し医療体制が逼迫(ひっぱく)する中、各消防本部の救急搬送業務にも大きな支障が出ている。県内18消防本部で5月の連休以降、救急要請出動後に現場で30分以上待たされた事案が684件、医療機関への搬送問い合わせが4回以上を数えたのは95件に上る。コロナ患者の入院調整などを行う県医療コーディネーターの医師は「病床数が絶対的に不足しており、一般傷病者の搬送も困難を極める状況だ」と訴える。
■救急車が30分以上待たされた事案684件
本紙が各消防本部に5月10日~8月25日の搬送状況を聞き取ったところ、那覇市消防局では現場待機が209件。浦添市消防本部も133件に上っており、全体の半数を占めた。那覇市消防は搬送先の問い合わせ4回以上も38件と特に多かった。
現場待機で最も長かったのは沖縄市消防本部の162分。理由は「コロナ患者の母親を搬送する際、家に残された子どもの面倒を誰が見るのか調整が必要だった」というもの。コロナ禍で混乱する状況も浮き彫りとなった。
浦添市消防では6月初旬に133分の待機があったが、コロナとの関連は不明。その他、うるま市で90分、那覇市、糸満市、島尻、中城北中城、ニライの各消防本部で80分超の待機が生じている。
■コロナ患者の受け入れ調整に時間
現場待機の主な理由は、県対策本部が行う自宅療養中のコロナ患者入院調整のほか、感染疑いの場合は救急隊と病院間で受け入れ調整に時間を要するためだ。
消防庁は、救急隊による医療機関への「受け入れ照会4回以上」かつ「現場滞在時間30分以上」を「救急搬送困難事案」と定義し、昨年3月末から全国調査を開始。県内は那覇市消防局が調査対象となっており、今年1月から8月22日までに「照会4回以上」と「待機30分以上」の両方が重なった事案は13件だった。
だが片方だけのケースも急増しており、関係者は「かつてない状況に陥っているのは明らかで、厳しい状況」と訴える。
■コロナ以外の救急にしわ寄せ
県内各消防本部が運用する救急車は計71台(2020年4月時点)と限りがある。現場待機が長引けば他の救急事案にもしわ寄せがいくのは必至だ。
浦添総合病院救命救急センター長で県の医療コーディネーターを務める米盛輝武医師は「コロナ以外の傷病者にも支障が出ており、すでに医療は崩壊している」と指摘し「人流を抑えるために県民それぞれが行動を変えないといけない。使える医療のカード(方策)は少ない」と強調した。
(社会部・城間陽介、豊島鉄博、矢野悠希)
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