長くなるけど、もし主さんが離婚したくなければ聞いて欲しい。

私も元旦那に言われてた。
「野菜が固くて味が染みてない。もっと煮込んで作れない？」「メインも副菜も味付けが全部同じ焼肉のタレなのは嫌」とかずっと言われてたけど、私は元々実家の母も野菜はほとんどレンチンで、最後に鍋や皿の中で調味料と混ぜて完成、って感じだったから、私もレンチンばっかでわざわざ煮込んだり味付けにこだわったりしてなかった。鍋も300円くらいのペラペラの鍋しか持ってなかった。食に興味が無いから子供の頃から外食も無かったし、したいとも思わなくて、結婚後も食事は全部自宅だった。元旦那もそれに付き合ってくれてた。

今だから笑って話せるけど、その元旦那は小料理屋の娘に惚れて、私に離婚したいって言ってきた。まだ客と店員の関係でしか無いけど、このままだと本気で好きになりそうだから別れたいって。私がいつまでも適当に作った料理を出すから愛想尽かしてるところだったって。本当に耐えられない、毎日家に帰るのが憂鬱になっちゃって、心療内科でうつ病と診断されたと。そして、私への気持ちも気付いたら冷めてたって。

離婚してすぐ私は体調壊して、医者から食事指導受けたんだけど、その時に野菜は全部鍋で崩れるくらいに煮込むよう言われて、生まれて初めてちゃんと煮込み用の鍋、ストウブを買って作った。
同じ野菜なのに信じられないくらい味が変わることを初めて知った。それまでは、そういう味の変化は調味料か何かの効果だと思ってたから本当に衝撃だった。
自分の料理でこんなに食材が美味しく変化した事が無かったから、ストウブを使った料理にハマりまくった。レシピ本もみるみる増えて、鍋やフライパンが増えて、キッチンに浄水器がついて、がらんとしていた寂しい冷蔵庫が食品や調味料で満たされた。

料理や食べることの楽しみを知って、元旦那と過ごした日々を思い出して凄く後悔した。大好きだったし最高に居心地のいい相手だと思ってたのに、たかが料理くらいでまさか離婚になるなんて考えた事も無かったから、嫌がる旦那の警告をずっと無視してた。
それで謝りたくて、あと、今の料理を振る舞ってあわよくばもう一度やり直せないかな…なんて思いながら元旦那に連絡取ったら、もう小料理屋の娘と再婚した後だった。ゆくゆくはお嫁さんが店を継いで2人で店に立つんだって。

今は私も再婚して子供もいて幸せに暮らしてるけど、自分が食に興味を持つようになってから初めて、料理って大事なんだと心から思うようになったよ。