急上昇
大谷吉継
(『津波の霊たち──3・11死と生の物語』より抜粋)
私が東北で出会った金田諦應(かねた・たいおう)住職は、津波に呑み込まれた死者の魂の除霊について教えてくれた。幽霊を見たという話が被災者のあいだでささやかれるようになったのは、震災の年の秋になってからのことだった。が、金田住職のもとに最初に〝憑依〟についての相談が舞い込んだのは、地震から二週間もたたないある日のことだった。彼は、宮城県内陸部にある栗原(くりはら)市の禅寺・通大寺(つうだいじ)の住職だった。3月11日の地震の揺れは、住職にとっても、彼の知り合いの誰にとっても、人生で経験したなかでもっとも激しいものだった。寺の本堂の太い木の梁(はり)が曲がり、みしみしと音が鳴った。電気、水道、電話が数日にわたって止まった。電気を奪われた栗原市民たちは──津波に襲われた海岸から50キロほどの場所にいたにもかかわらず──実際に何が起きていたのか、地球の反対側のテレビ視聴者よりも漠然とした考えしかもっていなかった。しかし、やがて状況は明らかになった。まず、埋葬するべき遺体とともに数組の家族が金田住職の寺にやってきた。その後、遺体がひっきりなしに到着するようになった。
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