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- 立花宗茂
- 21/04/06 18:37:36
日立、中国退け「ワシントン地下鉄」受注の裏側
車両使った「スパイ」懸念され中国中車は自滅
2021/04/05 4:40
東洋経済
アメリカのワシントン首都圏交通局(WMATA)は、新型の地下鉄車両「8000系」256両の製造を日立製作所に発注すると3月17日に発表した。車両の納入は2024年から始まり、オプションとして最大800両の車両を追加製造する契約も含まれる。追加製造も含む契約金額は最大で22億ドル(約2400億円)。日立の鉄道事業にとっては、アメリカで過去最大の案件となる。
8000系は既存車両に比べ、ブレーキ時に生じるエネルギーから電気を回収する回生ブレーキや換気システムを改善したほか、リアルタイム情報などを表示するデジタル画面や防犯のための高精細カメラを備える。首都ワシントンを走行するという特性から厳格なサイバーセキュリティ対策も取り入れる。
日立は8000系を製造するために新たに工場を建設する。「最大400人を雇用し、地域における新たな熟練工を創出する」と、日立の広報担当者は意気込む。(略)
■全米で2番目に混雑する地下鉄
WMATAはアメリカの首都ワシントンDCを中心に、メリーランド州とバージニア州における地下鉄やバスを運営している。
地下鉄は1976年に最初の路線が開通し、現在はワシントンの郊外と中心地を結ぶ6路線がある。駅数は91。現在は約1300両の車両が稼働している。1日に60万人超が利用し、「アメリカでは2番目に混雑する地下鉄」とWMATAは説明している。ダレス国際空港への延伸工事が行われているが、2018年の完成予定から大幅に遅れており、現在は2022年1~3月が目標となっている。
開業当初に導入された車両のほとんどは引退してしまったが、1980年以降の車両製造の主軸を担ってきたのはイタリアのブレダとフランスのアルストム。ブレダはイタリアの別のメーカーと合併した後、2015年に日立に買収され、現在は日立の海外鉄道事業の主軸を担う。
2010年、アルストムやボンバルディアといった世界の大手鉄道メーカーを押しのけ、川崎重工業がワシントン地下鉄の新型車両「7000系」64両を受注した。同社が製造した車両は安全性や快適性の高さが評価され、その後も順調に追加製造計画を獲得し、現在はWMATAの地下鉄車両の過半数となる748両が運行する。文字通り、ワシントン地下鉄の主役である。(略)
2018年9月、ドイツ・ベルリンで開催された世界最大の鉄道見本市「イノトランス」で、中国中車が出展したプロトタイプ車両が来場者の注目を集めた。軽量化のためカーボンファイバーを使用した真っ黒な外観もさることながら、客室窓にタッチスクリーンディスプレーを採用し、インターネットとつなげて窓にニュースや沿線の情報を映し出すといった機能のほか、走行データをリアルタイムで収集し故障予知を行うといったハイテク機能が売り物だ。ワシントン地下鉄8000系の仕様もデジタル技術をふんだんに取り入れることを求めている。技術力の高さを世界にPRしたい中国中車にとっては、8000系は喉から手が出るほど獲得したい案件だった。
ところが、中国中車が力を注ぐ「ハイテク」という部分が裏目に出た。「中国製の鉄道車両に搭載されたカメラや位置情報の追跡機器によって、鉄道車両内の情報が中国側に監視される可能性がある」と、米議会で指摘されたのだ。
■中車製は購入禁止に、日立が勝利
鉄道業界のロビイスト団体「レール・セキュリティ・アライアンス」は2019年10月に発表したニューズレターで、中国中車は軍事・民生融合体であり、ファーウェイのIoT(もののインターネット)技術を活用して各国の情報を収集することで中国の軍事戦略に貢献していると主張している。
結果として、2019年12月に成立した国防権限法(アメリカの国防予算を決めるために議会が毎年通す法律)には、政府予算による中国製の鉄道車両やバスの購入を禁止する条項が盛り込まれた。これにより、WMATAが中国中車に発注する可能性は消えた。(以下略)
写真…アメリカの首都ワシントンDCの地下鉄。写真はアルストムが製造した従来車の「6000系」(記者撮影)
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https://news.yahoo.co.jp/articles/d1f8416011829c711723bdf0738528bb776f19f6?page=1
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