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- 鍋島直茂
- 21/03/15 00:01:20
2021年3月14日 19時30分
まいどなニュース
[画像] 「僕」を使う男性は「甘えん坊」? 時代によって変わる一人称のイメージ…転機は昭和50年代か
男性が自分のことを呼ぶときに、もっとも多く使われているのは「俺」ですが、「僕」という一人称を使う男性も一定数いますよね。みなさんは「僕」を使う人のことをどのように感じていますか? アンケートで調べてみると「甘えん坊」「気弱」「美意識が高い」といった印象を受ける人が多いという結果に。でも、かつては意識が高い「インテリ層」が使う一人称だったといわれています。時代によって変わっていく一人称のイメージ…その転換期はいつだったのでしょうか。アンケート結果を交えて、初代・天満天神繁昌亭支配人で、落語と文学のコラム『作家寄席あつめ』も好評な文学修士の恩田雅和さんにお話を伺いました。
【グラフ】「僕」のイメージ、こちらアンケート結果
そもそもの「僕」の意味は?
「僕」という言葉を国語辞典でひいてみると、最初に出てくるのは「男の召使」。これが一人称となり、へりくだった一人称として使用されるように。『古事記』でも、スサノオノミコトや因幡の白兎が「僕」と使用しています。
ただ、鎌倉期まで「あ」や「やつがれ」と読まれていたのだそう。鎌倉期では武家の間で漢字の音読みが流行しましたので、訓読みの「あ」や「やつがれ」でなく「ぼく」と読み始めたと推察されます。
これが江戸時代を経て、幕末に頻繁に使われ始めます。奇兵隊でも使用していたことが知られています。その後、明治期に書生や大学生が多く使う一人称として一般化しました。つまり、インテリの一人称です。
現代の「僕」のイメージは甘えん坊が多い
アンケート掲示板「anke」で、現代の「僕」という一人称に対するイメージを調査してみたところ、最も多い結果は、「甘えん坊」(28.0%)に。続いて「気弱」(26.2%)、「美意識が高い」(13.1%)となりました。
これは漫画やアニメに登場するキャラクターや芸能人のイメージが強いと推察できます。漫画やアニメで「僕」を使っているキャラクターは、男性ならもれなく「弟」ポジションの甘えん坊。女性なら、気は強いけれど弱い部分の多いキャラクターです。
芸能人や有名人でしたら、GACKTさんやホリエモンさんが使用していることでも知られています。
さて、インテリの一人称が甘えん坊になる転換期はあったのでしょうか?文学作品の観点から、恩田雅和さんにお話をうかがいました。
全共闘世代の大学生がよく使っていた「僕」
――現代では甘えん坊のイメージの強い「僕」ですが、文学の観点ではいつが転換期だったのでしょうか?
今回のテーマずばりのタイトルの本があります。それは、三田誠広の『僕って何?』です。1977年に出版されました。この作品は庄司薫の1969年出版の『赤頭巾ちゃん気をつけて』にインスパイアされた作品です。両作品とも芥川賞を受賞しています。
――どちらの作品も全共闘世代の大学生が主人公ですね。
昭和40年代では大学生の一般的な一人称が「僕」だったことが、作品からうかがえます。明治期からの書生が使用していた流れが、ここに現れていると見て良いでしょう。
一方で、この全共闘世代は、生き方に迷っている世代といえます。戦後に生まれた最初の世代で、生き方すら手探り。「私」なのか「僕」なのかも分からず、うろうろしている世代。とても女々しく軟弱と感じている人もいたでしょう。
僕と決別した文学作品が、「僕=軟弱」のイメージを強めることに
――その軟弱なイメージが定着して、現代の甘えん坊のイメージにつながったのでしょうか。
https://news.livedoor.com/article/detail/19848209/
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