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- 下間頼廉
- 21/03/06 23:23:51
JRA=日本中央競馬会は、トレーニングセンターで働く調教師の助手などが、新型コロナウイルス対策の国の「持続化給付金」を制度の趣旨から逸脱して160人余りが受給し、総額がおよそ1億9000万円に上るとする調査結果を発表しました。
新型コロナウイルスの影響で売り上げが大きく落ち込んだ事業者を対象に支給される「持続化給付金」をめぐっては、JRAのトレーニングセンターで働く調教助手やきゅう務員などが給付金を適切に受給していたのかどうか国会で指摘があり、JRAでは先月18日から事実関係の確認を進めていました。
JRAは日本調教師会から報告を受けるなどした調査結果を6日、発表しました。
それによりますと、調教師の助手などきゅう舎の関係者に騎手を加えたおよそ2700人のうち、165人が持続化給付金を受給していて、総額はおよそ1億9000万円に上るということです。このうち正当な理由で受給していたのは僅か1人で、164人が制度の趣旨や目的を逸脱して受給していたということです。
JRAによりますと、これまでに49人から合わせて5100万円余りが返還されたほか、114人から合わせて1億3600万円余りが返還される予定だということです。
JRAでは今回の受給の主な原因について、制度の趣旨や目的を十分に理解していなかったほか、税理士などの勧誘、それに社会的な問題となるリスクへの認識の甘さがあったからだとしています。
JRAによりますと、去年10月、きゅう務員の労働組合から「きゅう舎の従業員が給付金を受給しているうわさがある」などと情報提供があったことから、JRAでは感染拡大による収入への影響は極めて限定的だとして、調教師などに注意喚起をしていたということです。
調教師や騎手も受給
JRAが発表した調査結果の詳細です。
調査は「栗東トレーニングセンター」と茨城県美浦村にある「美浦トレーニングセンター」のきゅう舎で働く、調教師の助手などのほか騎手を含めた合わせて2748人を対象に行われました。このうち164人が制度の趣旨や目的を逸脱して受給していたということです。
トレーニングセンターごとでは、栗東が123人で全体の4分の3を占めています。このうち調教師の助手が96人で合わせておよそ9500万円、きゅう務員が14人で合わせて1300万円余りを受給していました。
さらにきゅう舎を管理し、助手らの雇用主でもある調教師も8人で合わせて1500万円、騎手も5人で合わせて900万円を受給していたということです。
また美浦トレーニングセンターでは41人が受給し、調教助手が16人で合わせておよそ1500万円、調教師が11人で合わせておよそ1800万円、騎手が8人で合わせて1600万円、きゅう務員が6人で合わせて580万円余りとなっています。
調教師会「制度理解せず安直に受給 深くおわびする」
日本調教師会の橋田満会長は「制度の趣旨を十分理解せず、安直に受給したことは誠に遺憾で深くおわびします。受給要件を満たさない者は速やかに申請の取り下げや、受給返還の手続をしている。コロナ禍で競馬を支えて下さっている皆様を非常に不快なお気持ちにさせてしまい、深くおわびいたします」とコメントしています。
JRA理事長「あってはならない 心よりおわび」
JRAの後藤正幸理事長は「中央競馬のきゅう舎関係者が持続化給付金制度の趣旨・目的を十分に踏まえずに申請及び受給をしていたことが判明いたしました。これはあってはならないことであり、中央競馬の信頼に関わる問題となったことにつきまして、お客様ならびに社会の皆様に心よりおわび申し上げます。JRAといたしましては、再びこのようなことを起こさないよう再発防止に取り組み、お客様をはじめ社会全般からの信頼確保に努めてまいります」とコメントしています。
日本騎手クラブ武豊会長「騎手全員に厳重注意」
日本騎手クラブの武豊会長は「持続化給付金制度の趣旨や目的等を十分理解せずに一部の騎手が受給を行ったことについて心よりおわび申し上げます。当該の騎手は全員がすでに返還を済ませるか返還の手続きを進めていますが、今後、このようなことがないよう改めて騎手全員に厳重に注意してまいります。今後も騎手一丸となって競馬でのベストパフォーマンスをファンの皆様に提供できるよう日々、努めてまいります」とコメントしています。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210306/k10012901191000.html
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