• No.4 伊達成実

    20/12/10 13:41:52

    ■「適切に塾選びをする権利を奪うことにつながります」

     合格者の"水増し"については、「リストに載った他塾の優秀生に模試を渡し、結果を知らせるとの口実で来校してもらいます。そこで授業料免除の特待生に認定し、その後、簡単な個別指導や質問対応をすればカウント対象となります。ほかにも、短期間の特別講座を受講した生徒も含みます」と手口を明かす。

    「ちょっと通わせてカウントするというのは、『うちではトップ校と呼ばれる学校に合格させられないから他から集めてます』と言っているようなものではないでしょうか」

    「うちで出した合格者数と他の塾で出した合格者数を足し算すると、入学した子よりもはるかに多くなりかねない。そうなると塾業界の信頼にかかわります。合格実績で比較できなくなるからです。消費者が適切に塾選びをする権利を奪うことにつながります」

     東原さんの問題意識は、ステップが複数の元臨海社員に実施したヒアリングでも異口同音に語られた。

     ある元社員は、

    「こうした環境にいると自然とそれが自分の中に染み込み、世間一般の良識や常識を塗り替えていってしまい、数字を出せばほめられて、それだけが正義になります。素直で真面目な若手は染まるのも早く、壊れて退職していく流れになります。基本的にブロック長以上の人間は対話でマウントを取るタイプの人間がほとんどで、人の話をまったく聞きません。それこそ上司が言えばカラスも白くなります。
      
      そんな中で追い詰められた日々を送っていくと、立場に比例して自分の人間力・実力が高まったと勘違いする人間も少なくありませんでした」

    と証言し、別の元社員は「自分がやってしまった行為は社会的に恥ずべき行為であり、塾講師としてのモラルに欠けるものだと思います」と後悔を口にする。

     臨海側の受け止めはどうか。同社に、告発文の内容などについて取材を申し込むも、「内容を確認させて頂いた上、弊社内で検討させて頂きましたが、今回の取材をお受けする事につきまして、見送らせて頂く事となりました」と回答。理由については「冬期講習直前での繁忙期のため時間をとることができない」とした。

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