「限界だった」たった1人の介護の果て なぜ22歳の孫は祖母を手にかけたのか

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    • 島津家久
      20/10/28 21:55:52


     誰が祖母を介護するのか。神戸市内で清掃会社を経営する伯父は仕事に忙しく、父は手足がしびれる病気だった。叔母にも小さい子供がいた。「おばあちゃんに学費を出してもらったんや。あんたが介護するのが当然やろ」。叔母の一声で、介護は女性が担うことになった。幼稚園教諭として働き始めて1カ月後、7年ぶりに祖母との同居が始まった。

     この頃、女性は高校の同級生だった親しい友人に、「祖母の介護を始めて、おむつ代や食費も自分で出している」と打ち明けている。慣れない仕事への戸惑いもこぼした。連日上司や同僚に怒られ、職場で介護の話をしても「ウソつき」と、取り合ってもらえなかったという。

     祖母は平日の日中こそデイサービスに通ったが、夜間や土日は自宅にいる。女性は毎日、仕事から帰宅した後、祖母に夕食を食べさせた。1~2時間おきにトイレに連れていき、排せつすればシャワーを浴びさせた。深夜の散歩に付き合った。1日2時間ほどしか眠れなかった。

     同居を始めて2週間で、女性は限界を察した。「介護は無理かもしれん」。父と叔母に伝えた。

     女性と親族の関係は特殊だ。中学から短大時代まで身を寄せた叔母の家では、「許可がないと遊びに行けない」と友人にこぼし、叔母の子供の面倒をみるために学校の早退や部活を休むことがよくあったという。

     裁判で検察官が読み上げた供述調書によると、伯父は女性について「明るく優しい子。きょうだいが母の世話を任せきりにしていた。重い罪は望まない」と話した。

     だが、「無理かも」とこぼした女性に、叔母は「それくらいコントロールできるやろ」と言うだけだったという。女性は祖母を担当するケアマネジャーと直接連絡を取ることも禁じられ、何を言っても「あなたが面倒をみて」。事件が起きたのは、そんな生活が5カ月続いた末のことだった。

     事件当日は、朝からどんよりと曇っていた。まだ暗い午前5時半、女性は隣で寝ていた祖母に「汗をかいた」と起こされた。

     体をタオルで拭いたが、「親をないがしろにする」と怒鳴られた。孫の自分を娘と勘違いしたのだろうか。お湯でタオルを温めて拭き直したが、今度は「あんたがおるから生きていても楽しくない」と言われた。

     「ごめんね、ごめんね」となだめたが、祖母の非難はやまなかった。気づくと、祖母の体をベッドに押し倒していた。

     「もう黙って……」

     手には、スヌーピーとピンクのハート柄が入ったフェースタオル。両手で祖母の口に押し込んだ。祖母は数分で動かなくなった。

     「おばあちゃんを殺してしまいました」。自殺未遂を図った末、女性は自ら110番した。すぐに警察官がやってきた。

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