- ニュース全般
- 直江兼続
- 20/09/14 16:32:38
独自OSもむなしく、ファーウェイがスマホ撤退か
経営トップが敗北宣言、最先端技術で米国の壁厚く
2020.9.14(月)
8月17日、米商務省産業安全保障局(Bureau of Industry and Security)(以下、BISという)は、中国のファーウェイと関連企業に対する禁輸措置を強化する声明を発出した。
これにより、米国の技術やソフトウエアを使用して製造された半導体やソフトウエアのファーウェイへの供給が事実上、全面禁止となった。
また、同声明においてファーウェイの関連企業38社をエンティティリスト(EL)に追加するとともに、これまでファーウェイなどに付与してきた暫定包括許可(TGL:Temporary General License)も失効した旨を明示した。
(略)
今回の声明(輸出禁止強化措置)により、ファーウェイは米国製の製造装置を使用している半導体製造企業からの半導体の調達が絶望的となった。
また、米商務省は、既にファーウェイに対し、グーグルからのアップデートソフトウエアの一時的な提供許可を延長しない方針を示しており、またその期限も切れている。
このため、ファーウェイは新規製品に「グーグルモバイルサービス」(注)を搭載できなくなった。それだけでなく、既発売製品についても、「グーグルモバイルサービス」のアップデートが不可能となった。
(注)グーグルモバイルサービスとは、米グーグルが提供するアプリなどをまとめたもので、他のアプリをインストールするための「グーグルプレイストア」のほか、「グーグル検索」「グーグル音声検索」「ユーチューブ」「Gmail」「グーグルマップ」などが含まれる。
(略)
結局のところ、ファーウェイは最先端の半導体を調達する道は閉ざされたのである。
ファーウェイには、旧世代のスマホを生産・販売するか、あるいはスマホ事業から撤退するかの2つの選択肢しか残されていない。
(略)
最先端半導体市場から締めだされた中国はスマートフォンや次世代通信規格「5G」向け機器の生産は難しくなり、米国とのハイテク覇権争いで敗北を喫しかねない。
中国にとって国産化のペース加速が急務である。
中国はハイテク産業の育成策「中国製造2025」で、半導体の国内自給率を2020年に40%、25年に70%まで高める目標を掲げているが、半導体市場動向調査会社である米ICインサイト(IC Insights)は、現在その3分の1しか達成できていないと予測している。
また、同ICインサイトは、最先端半導体を製造するために不可欠な米国製の製造装置を使用することができない中国が、最先端半導体を自給自足できるまでの大きな進歩を遂げることは困難であろうという見方を示し、今後10年以内での自給自足の目標達成は難しいだろうとしている。
ファーウェイの創業者兼CEOである任正非(レン・ジェンフェイ)氏は、最近負けを認めたかのような発言をしている。
この発言は今年7月29日から31日にかけて上海交通大学、復旦大学などを訪問した際のものである。
「ファーウェイは、第5世代移動通信という(未知の世界を照らす台に)火を灯したかった。ところがマッチ棒を擦った途端、アメリカが振り下ろした棍棒に打ちのめされてしまった」
「当初は、われわれの法令遵守の手順に何か問題があったのではないかと考えを巡らせた。しかし2度、3度、4度と打ちのめされ、アメリカの一部の政治家はファーウェイの死を望んでいるのだとようやく気づいた」(出典:東洋経済オンライン2020/9/4)
ファーウェイは、かつてZTEが厳しい条件で米商務省と和解(2018年6月12日)したように米国の軍門に下るのか。今後のなりゆきを見守るしかない。
BJpress
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/62074
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