「釣れるから」急増！“禁止区域”での釣り　新型コロナの影響か　行政、警察が警戒〈宮城〉

釣れるから　禁止も侵入後絶たず
「釣れるから」急増！“禁止区域”での釣り　新型コロナの影響か　命の危険も…行政、警察が警戒〈宮城〉

2020/08/18 19:45仙台放送ＮＥＷＳ
「釣れるから」急増！“禁止区域”での釣り　新型コロナの影響か　命の危険も…行政、警察が警戒〈宮城〉
釣りなどを目的に立ち入り禁止区域に入り、検挙された件数です。７月末の時点で、今年は早くも過去５年の年間件数を超える異常事態となっています。死亡事故も発生している禁止区域での「釣り」。管理する行政、そして警察も警戒を強めています。
８月９日、宮城県石巻市の旧北上川の河口には、多くの釣り人の姿がありました。
中には…。
記者リポート
「こちらの男性２人はテトラポットを超え、海面に近い位置、波打ち際で釣りを行っていて、一見危険に見えます」
この場所を管理する北上川下流河川事務所は、「この場所は現在も工事中でバリケードや看板を設置するなどして、立ち入らないように呼びかけている」としています。
こうした、立ち入り禁止区域での釣り。今、大きな問題となっています。
これは、立ち入り禁止区域での釣りなどで、検挙された人数です。
今年は、７月までに「６６件」。過去５年と比べると、今年はすでに全ての年の年間件数を上回っています。
「釣れるから」
県警によりますと、検挙した人の多くが禁止区域内に侵入する理由についてこう話すといいます。
今年５月には、栗原市のため池で、釣りをしていた２３歳の男性が池に転落し、死亡する事故も発生。
この場所も侵入を防止する柵や注意を呼び掛ける看板がある立ち入り禁止のため池でした。
禁止区域での釣りに行政も頭を悩ませています。
大衡村のこちらの農業用ため池では、フェンスと立ち入り禁止の看板を設置し、侵入を防ぐ対策をとっていますが…。
大衡村産業振興課 渡邉愛 課長
「どうしても脇から侵入されたり、そういった侵入の方が後を絶たない。有刺鉄線も張らせていただいて、とにかく入らないようにさせていただいた」
それでも、中に入る人は絶えないといいます。
大衡村産業振興課 渡邉愛 課長
「あれだけ対策ありますけど、なんらかの形でフェンスを越えて、こういうところに穴を開けて降りて、釣りをされている」
侵入防止のために張られたフェンスは、このありさま。
この日、大衡村は新たに注意喚起の看板を設置しました。
しかし、取材中も、隣のため池には釣りをする男性の姿が…。
大衡村産業振興課 渡邉愛 課長
「やっぱり立ち入りはしていただきたくないというところ」
しばらくすると、男性の姿は見えなくなりましたが…。
釣りをしていた場所に向かうと、ここにも立ち入り禁止の看板が立てられていました。
そして、大衡村では、さらに深刻な“被害”が出ています。
この農業用ため池には、水位を調整するふたがありますが…。
大衡村産業振興課 渡邉愛 課長
「代掻き、田植えの時期であれば冬の間の雪も含めて、満々と水を貯めておくというところですが、釣りをするには水が少ない方が良いということなのでしょうか、水を抜かれてしまうこともありまして、貴重な農業用水が不足する」
大衡村は地形的にも、農業用水の確保が難しく、農業用水が減ることは死活問題だといいます。
村内に農業用ため池は２００〜３００ほどありますが、大衡村ではすべての場所で釣りを禁止としています。
大衡村産業振興課 渡邉愛 課長
「とにかく農業用水の確保と、さらには中での事故が発生しないように、２つの点を大事にして注意を呼び掛けて、釣りをしないようにお願いしているところだが、なかなかそのマナーを守らない方が多く見受けられるのが現状です」
命の危険もある立ち入り禁止区域での釣り。県警や行政も対策を強化しています。
釣り人が多く訪れていた石巻市の旧北上川の河口では、８月１２日、侵入を防ぐバリケードを設置し、立ち入り禁止区域と明示しました。
県警によりますと、立ち入り禁止区域への侵入に対する検挙件数は５月以降に急増していて、県警は新型コロナウイルスの影響で、３密になりづらい釣りが人気になっているとみています。
県警は、「禁止区域への立ち入りは軽犯罪法違反にあたる」として、関係機関と連携し、今後も取り締まりを強化する方針です。

https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/oxtv/region/oxtv-05060