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■13歳に降伏求める文書
メッセージが本当にギャパーさんの送ったものか、判定するのは不可能だ。ただ専門家は、動画の背景で聞こえる政治宣伝の言葉から、本物だとみられると言う。
動画からは、「新疆が東トルキスタンだったことは1度もない」などと、ウイグル語と中国語でメッセージが放送されているのが聞こえる。
また、新疆ウイグル自治区に移送された方法や、施設の状況などが、これまで施設について確認された記録と合致している。そのことからも本物である可性能が高いと、中国政治に詳しい米ジョージタウン大学のジェイムズ・ミルワード教授は話す。
ギャパーさんが送信したものの中には、「感染流行管理センター」の床で見つけた文書の写真もある。地域の共産党幹部の演説が書かれており、わずか13歳の子どもにも「間違いを悔い、自発的に降伏する」よう求める内容だった。
ウイグル族について研究している米コロラド大学のダレン・バイラー博士は、「宗教的な活動に関して未成年に責任を取らせるとした公式文書を見るのはこれが初めてだと思う」と話す。
[画像]ギャパーさんが撮影して送信した文書。子どもに対して「悔い改め降伏する」よう求めている
■「息ができない」
ギャパーさんの家族には5カ月前から、彼のメールが届かなくなった。今回、映像を公表することで、彼に圧力や罰が加えられる恐れがあることは認識している。
しかし、ギャパーさんとウイグル族の苦難を明らかにすることで、アメリカで警官の暴行によって死亡したジョージ・フロイドさんの映像が反人種差別の抗議デモを引き起こしたのと同様、世論を動かせるのではないか――。オランダで暮らすギャパーさんのおじ、アブダルハキム・ギャパーさんは、そう考えている。
「(マーダン・ギャパーさんとフロイドさんは)どちらも人種を理由に虐待された」、「アメリカでは人々が声を上げたが、私たちの場合は沈黙が続いている」。
「ウイグル族全体がジョージ・フロイドさんのようだ」、「息ができない」。
[画像]パリのデモではウイグル族の「大虐殺」をやめるよう訴える人もいた
アブダルハキムさんは、ギャパーさんが拘束される前、彼とよく連絡を取っていた。そうした外国とのコネクションが、ギャパーさんの拘束につながったのは「100%間違いない」と話す。
アブダルハキムさんは、2009年から新疆ウイグル自治区で政治ビラを配るなどの活動をしてきた。中国当局に逮捕されそうだと知り、国外に脱出した。政治活動は平和的で、おいのギャパーさんはまったく関わっていなかったと、アブダルハキムさんは言う。
BBCは中国当局に、ギャパーさんとアブダルハキムさんが中国で犯罪に関わった疑いがあるのかを質問した。
また、ギャパーさんがベッドにチェーンでつながれた理由や、その他の不当な扱いや拷問の訴えについても、コメントを求めた。
中国当局から回答はなかった。
(英語記事 Uighur model sends rare video from Chinese detention)
BBC NEWS Japan(動画あり)
https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-53659893- 0
20/08/08 12:07:11