- なんでも
- 細川忠興
- 20/07/23 14:17:41
18日に30歳の若さでこの世を去った三浦春馬さんは、2017年、英国へ短期留学をした際は、中国人青年「ダニエル(※ハンドルネーム)」とルームシェアをした。それぞれが帰国して間もない2017年9月、中国検索最大手・百度(バイドゥ)が提供するコミュニケーションプラットフォーム「百度貼」に一緒に生活した日々の断片を綴った。
〈私(※ダニエル氏)はロンドンで、テムズ川南岸トゥーティング・ベック地区のフラットの地下室を借りていた。ある日、家主は部屋にやって来て、「今晩、ひとりの日本人男子学生が越して来るわよ」と。私は予想した。日本人というからにはきっとカタブツだろうと。
夜遅くにフラットへ戻ると、家主は「彼がもう到着しているわよ。でも、ロンドンの気候にまだ慣れないみたいで、あなたたちの部屋ではなく上の階で休んでいるわ」と言った。私は家主に彼の名前を尋ねた。彼女は「ほら、日本人の名前って憶えるのが難しいでしょ。忘れちゃったわ」とだけ答えた。
翌日早朝、私は自室のキッチンで朝食を準備していると、階上から微かな足音がして「28歳日本人」が下りて来たのを察した。私はすぐに右手を伸ばして彼に大声でデタラメな日本語を叫んだ。「オヒヨーコザイエドマス」「My name is Daniel, What's your name?」振り返り様に彼を見ると、帽子を被ったこの日本人は実に格好いいルックスだなと思った。彼は少し驚いた様子で、私をとても意外そうにまじまじと見つめて言った。「Hello my name is Haruma, You can call me Haru」〉
〈ハルが越してきてから何日かが経って、彼は毎朝オートミールだけを食べていることに気付いた。「何か美味いものを買いに行こうよ」私はハルを誘って近所のスーパーマーケットに出掛けた。私は彼と、パスタのようなものを選ぶつもりだったが、ハルが冷凍庫に直行し、冷凍パイナップルのすべての箱を買い占めることを誰が予想したろうか。ハルは「これすごくいいよ。僕はこれを食べるのがものすごく好きでさ……」。私はその時、ハルってちょっとビョーキなのかなと疑ったものだ。
でも後になって、フラットの冷凍庫内のA4判大のカット・パイナップルの袋が毎日深夜と早朝にひと袋ずつ減っていることに気付いた。やがて私はそんなことにも慣れた〉
〈ハルは毎日ヘアスタイルを変える――しかもカッコよくキメるためではなく、他人に気付かれないために変える――という、私が知り得る唯一の人間だった。帽子を被ったり前髪を下ろしたり、ファンから気付かれるのをひどく恐れているようだった〉
〈ある日、図書館で別の日本人の友人たちと自習をしていると、突然一人の女子学生が私の横の友人のもとに駆け寄ってきて「芸能人に遭ったよ!」と耳打ちした。その芸能人の名前を聞いて友人はひどく興奮し、私は友人に、その芸能人の画像を見せてと頼んだ。友人は素早くモバイルデバイスのネット検索サイトを開いて超速で「miura haruma」と打ち込んだ。表示された「三浦春馬」の画像は「え? 彼って私のルームメイトじゃないか!」。
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