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- 松永久秀
- 20/07/19 17:22:23
収益7分の1でも黒字キープ!コロナで「一人勝ち」のAPAが始める史上最大の作戦
究極判断…価格破壊に患者受け入れ
2020年7月31日号
元谷 外志雄
アパグループ代表
◆APAがこの状況で攻め続ける理由
このコロナ禍でホテル業界に軒並み元気がなくなる中、アパホテルは新型コロナウイルス感染者の受け入れにいち早く名乗りを上げ、現在までに全国9棟のホテルを療養施設として貸し出しています。
政府から新型コロナウイルス無症状者および軽症者の受け入れについて意向打診をいただいたのは、2020年4月2日のこと。日本中が戦後最大の国難にあり、世界中が第3次世界大戦ともいえる大打撃を受けている中で、ホテル業界のリーディングカンパニーとして医療崩壊を防ぐためのご協力をしたい、皆さまの期待にお応えしたいという想いから、即座にお引き受けする旨、回答いたしました。
受け入れを決めたときは、コロナウイルスが今よりよく解明されていない時期でした。感染力や致死率はどれくらいなのか、どのように感染するのかなどの情報が不明瞭な中、誰もが未知のウイルスに強い不安を感じていたと思います。そのような状況で、感染者受け入れホテルで働いてくれる従業員がいるだろうかと最初は不安を感じていました。
ところが蓋を開けてみると、むしろ予定していた数を上回るたくさんの応募がありました。自治体への一棟貸しなので、そもそも従業員の数は少なくて大丈夫で、例えば「アパホテル&リゾート〈横浜ベイタワー〉」(横浜市中区・2311室)では通常時で70~80人の従業員が働いていますが、コロナウイルス感染者の受け入れ時に従事してもらうのは10人くらい。少し手当を出したこともあるかもしれませんが、その定員の何倍もの応募がありました。多くの従業員が代表と芙美子社長の想いに共感して頑張りたいと思ってくれたことに、正直救われましたね。
◆シングル1泊1室2500円でも経営できた理由
コロナウイルス感染者の受け入れに加えて、このコロナ禍でもう1つ新しいことを行いました。「新型コロナウイルスに負けるなキャンペーン」です。これは、テレワークでの利用や長時間通勤による感染リスク軽減のため、アパ直(アパホテル公式サイト・アパアプリ)から予約することで、シングル1泊1室2500円(税サ込)~の特別料金でご宿泊いただけるプランです。
感染者受け入れと同様、このコロナ禍で私たちができることは何かと考えた末の方針です。それまで1泊1室の相場は1万円程度だったので、30~50代の出張族サラリーマンの方々の利用が多数でした。しかし、2500円という格安プランを出したことで、20代の若い層の利用も増えてきたのです。このプランではアパ直からでないと予約できないようにしました。というのも、代理店を通すと2500円という低価格はとても実現できないからです。アパホテル会員数はこのキャンペーンが起爆剤となり開始前と比べてグンと伸びて、累積会員は現在1800万人いらっしゃいます。
この低価格キャンペーンは、アパホテルのような体力のある企業でないと実現しづらいと思います。うちも始めてからしばらくは赤字でしたしね。この機会に、今までアパホテルを利用したことのなかった方、例えば若い方などにもぜひ泊まってほしいと考えました。
「競合のビジネスホテルよりも設備が進んでいて、きれいで、おしゃれで、郊外のロードサイドではなく都心の駅近の立地にあって、やっぱりアパは違うな」と感じていただくために今仕掛けたという狙いもありますから。
アパホテルはコンパクトな部屋に大きなベッドを置き、照明は明るくしています。そうすると、ベッドの上で本を読んだり、書類を広げたり、地図を見たりと、ベッドを寝るためだけでなく多目的に使うことができるのです。ミラーリングできるテレビも大変人気です。
続く
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