しまむら、苦境の裏で決めた「異例の社長交代」

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    • 康平
      20/02/01 11:07:28

    店舗の運営には膨大なマニュアルを活用し、配置するスタッフの数を最小限に抑制。狭い商圏に集中出店するドミナント戦略をベースに、効率的な商品配送を行える自前の物流網も確立している。

    ■都市部では自社競合が発生

     だが、店舗数拡大に伴い、従来の郊外型ロードサイド店だけでなく、最近は都市部の商業施設への出店も増加。関西の都市部などでは自社競合が発生し始めた。さらに少子高齢化やネット通販の拡大など消費環境の変化を受け、地方店舗でも売り上げにばらつきが発生し、不採算店が増えるようになった。

     これまでしまむらは特別な事情がない限り、赤字が続いても退店を極力行わない方針を貫いてきた。だが、収益改善に向けては店舗網の精査が避けて通れなくなっている。鈴木氏は「今はもうバンバンと店を出す時代ではない。現状100店舗ほど赤字店舗があり、今後数年間にわたってこれらを整理していく」と語る。

     商品施策においても、本部主導で行う在庫管理のずさんさが目立ち始めている。店舗立地が地方から都市部まで多様化した今、同じ「ファッションセンター しまむら」と言っても店舗によって顧客層は大きく異なる。

     にもかかわらず、しまむらではサプライヤーから仕入れた膨大な種類の商品をどの店に何枚投入するかは、主に本部の担当者の勘に頼って決めてきた。値引きも個店ごとの判断ではなく、全国もしくは地域別に一律で行うことが基本だ。結果として、店舗によっては売れるはずの商品が足りず、逆に需要の少ない商品が大量に投入されるといった事態が起きやすくなっている。

    ■商品部の人員を1割増やす

     こうした状況には会社側も課題意識を持ち、個店別に最適な量やタイミングで発注・値引きを行うための商品管理システムを来期から導入する予定という。「品ぞろえを全国一律で考えるのではなく、顧客層など店舗ごとの特性に応じた商品管理を徹底したい」(鈴木氏)。

     主力業態の「ファッションセンターしまむら」では、仕入れや在庫管理を担う商品部の人員を来期から約1割増やす方針。より顧客の需要を見極めた商品の仕入れや店舗への配分を実現できる体制を整える。

     鈴木氏は「まずは集客の回復を最優先し、2021年度以降は取り扱うアイテムの拡充など業容拡大を検討する」と強調する。今年の秋には、ようやく自社のネット通販サイトも始動する見通しだ。”デフレの寵児”と呼ばれたしまむらは、消費者の価値観や購買手法も多様化した現代に再成長の一歩を踏み出せるのか。新体制で向き合う課題は山積している。

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