日本発だった「母子手帳」 死亡率低下に寄与、途上国で導入続々

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  • 19/12/15 21:57:17

 妊婦の産前産後の経過や乳幼児の予防接種状況などを一括で管理する「母子健康手帳」(通称:母子手帳)。この母子手帳、世界で初めて導入したのが日本だということをご存じでしょうか? 現在、日本の妊産婦・乳幼児死亡率は世界トップクラスの低さで、母子手帳の導入や予防接種の広がりなどが大きく寄与したとみられています。国際協力機構(JICA)によると、1990年ごろ以降、途上国を中心に15か国が母子手帳を制度として本格導入、計50か国がなんらかの形で採用してきたといいます。

 日本で母子手帳が使われ始めたのは1948(昭和23)年のことです。それまでは、戦時中の1942年に厚生省(当時)が発令した規定に基づき、妊産婦登録した女性に対して「妊産婦手帳」が交付され、物資の配給などを優先的に受けられるようにしていました。

 乳幼児向けには「乳幼児体力手帳」(42~45年)が配布されていましたが、それぞれは別個のもので、母と子の記録を一冊にまとめた手帳ではありませんでした。

「育児書機能」と「記録機能」

 戦後、日本では急速な経済発展に伴い、分娩施設の増加や予防接種法の制定など医療環境が整い出産前後の母子の健康が改善されていきました。JICAは、母子手帳単体での効果については「直接の因果関係の検証は困難」としながらも、以下の2つの機能が大きな役割を果たしていると説明します。

 (1)育児書としての機能
 (2)母子の健康状態を記録する機能

 「育児書機能」によって親は妊娠中に気を付けるべき兆候、子どもの病気・成長、子どもの予防接種時期、など育児に関する正しい情報を得られます。そして、「記録機能」によって妊娠出産の経過or状況、子どもの発育、予防接種歴などを記録することで、医師にこれまでの健康情報を適切に提供できるようになったのです。

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    • 19/12/15 21:58:32

    ■字が読めなくても分かる

    手帳が普及しても、識字率が低い国では親が読みこなせないのではないか――。素朴な疑問が浮かぶかもしれませんが、それぞれの国の状況に合わせた手帳の開発や、保健指導の実施などがなされているのです。

     アフガニスタンの例をみてみましょう。多民族国家である上に、女性の識字率が10%台という社会背景を踏まえ、母親や家族が理解できるよう、イラストを多く使って分かりやすくしたほか、2言語(ダリ語、パシュトゥ語)で作成しました。同様に、ガーナでも公用語の英語を読めない母親を意識し、イラストを多用したといいます。

     JICAはこれまで、35か国で母子手帳の導入に関わってきたといいます。その年間発行部数は計約900万冊に達するということです。一方、一度は試行的に導入されたものの、定着しなかった国も複数あります。そのうち、ザンビア、モザンビークなど、改めて本格導入を計画している国に対し、支援を継続していく計画になっています。

     日本で生まれた母子手帳は海を渡り、様々な国で芽吹き出しています。妊産婦や乳幼児の健康改善に寄与していくことが期待されます。

    https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191215-00010000-wordleaf-soci&p=1

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    • 19/12/15 21:57:32

    ■母国での普及に尽力したインドネシア人医師

     長らく日本で使われてきた母子手帳ですが、その効果に目を付け、母国での普及に尽力した医師がいます。インドネシアの保健省職員で、1992年にJICAの研修員として日本に滞在したアンドリアンサ・アリフィンさんです。

     アンドリアンサさんは帰国後に母子手帳の導入に注力されました。1994年ごろにパイロット版を作成したことを皮切りに、改訂を重ねながら徐々に全国に広めていったのです。その努力が実り、2006年以降はインドネシア国内全ての州で母子手帳が使われるようになっていったのです。

     JICAは、2010年のインドネシア基本保健調査をもとに「(同国では)母子手帳使用者は非使用者に比べ、熟練介助者による出産、出産後48時間以内の新生児の体重測定実施、継続的ケアの利用、子どもの予防接種完了率などが高いことが明らかになっており、これらの向上を通じて母子の健康改善に寄与していると考えられる」としています。

     今ではインドネシア政府が主体となって途上国から研修生を招き、母子手帳の導入、定着を後押ししています。2017年までにアジア・アフリカの14か国から135人を受け入れました。

    ■15か国で全国的に普及、50か国で導入

     世界に目を向けると、アジア・太平洋地域ではカンボジア、ブータン、ソロモン諸島など、中南米地域ではコロンビア、ドミニカなどの途上国で母子の健康が十分に保てていないのが現状です。特に、アフリカのサブサハラ地域(サハラ砂漠以南)では妊産婦死亡率が高く、2015年時点で平均死亡数は557人(10万出生中)に上ります。この数字は、日本(同5人)の100倍以上となります。

     この課題を解決するため、インドネシアのように母子手帳を導入する国が続々と増えていきました。2019年現在、一部地域で採用している国、一時的に導入した国まで含めると50か国に上るといいます。また国の制度としてほぼ全国的に普及している国も、韓国、中国、フランス、パレスチナ、東ティモール、ケニア、セネガル、ブータンなど15か国あります。

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