急上昇
元治
オーストラリアの観光名所だった巨大な一枚岩のウルル(エアーズロック)が、10月26日から登山禁止になる。
ウルルを聖地とみなす先住民「アナング」に敬意を表して決まった措置で、禁止区域に立ち入れば罰金が科せられる。
同地を管理するウルル・カタジュタ国立公園の管理事務所には、少なくとも週に1回は、けがをしたり動けなくなったりした観光客の救助要請が入っていた。
10月27日からは、警告を無視して立入禁止区域に侵入すれば630オーストラリアドル(約4万6000円)の罰金を命じられ、刑事責任を問われる可能性もある。
「この場所は立入禁止区域に指定され、その後まもなく登山チェーンは撤去される」「もしそれを無視する人がいれば非常に重大な事態と受け止める」
公園管理者のマイク・ミッソー氏はそう警告した。
ウルルは標高328メートル。
気温は高く、足元は滑りやすく、強風が吹くこともある。
1950年代から登山が始まって以来、少なくとも35人が死亡した。
それでもウルルを目指す観光客は後を絶たず、登山禁止を前に過去1年半は観光ブームが巻き起こっていた。
地元の観光業者によると、今後数週間はオーストラリア国内や日本からの観光客が押し寄せる見通し。
「もしも自分だけの広々とした空間を体験できると期待しているのなら、次の数週間はその時期ではない」
ウルル近郊で宿泊施設やキャンプ場を営む女性はそう釘を刺した。
先住民アナングの人たちは、ウルルを上り下りしてごみを捨てたり近くの池を汚染させたりする観光客によって、自分たちの聖地が荒らされることに心をいためていた。
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